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時事ウオッチ

関西の大学で教壇に立つ気鋭の研究者4人が交代で時事問題について執筆します。

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歩き遍路で気付く価値=松永桂子

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 コロナ禍で中断しているが、数年前から四国遍路の旅を続けている。歩き遍路は今や少数派で、バスや車でまわるのが主流だが、コロナ前、道中で出会うお遍路さんの数は相当なものであった。それがこの1年、姿を消し、地元経済にも大きな影を落とした。

 わたしは夫と一緒に週末など2~3日程度に分けてまわる「区切り打ち」をしている。歩き遍路でこのタイプは珍しく、ほとんどがひとり、それも高齢男性か外国人で、88カ所を50日前後かけてまわる「通し打ち」が圧倒的に多い。

 遍路は修行であり、かつては村や世間からつまはじきにされた者が向かう場という色合いが濃かった。出会った中には家を追われて30年以上歩き続けているという猛者もいたし、野宿で切り詰めながらの方もいたが、定年後に余裕ができてまわっているという方がほとんどであった。人生の一区切り、山道や旧道をひたすら歩き、自然に身をゆだね、札所では般若心経を唱える。それをただ繰り返し、歩を進める。

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