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国土交通省の出先機関である地方整備局の出張所で、職員が所長しかいない「ひとり出張所」が増加しており、災害対応に支障を来している。2010年は2カ所だけだったが、20年には51カ所に増えた。出張所は各地でインフラの維持管理を担い、自然災害が発生すると真っ先に現場に入る最前線だが、行政改革や合理化で進められた国家公務員の削減のあおりを受けてきた。20年度は地方整備局の定員がわずかに増加したが、出張所の人員不足は深刻なままだ。台風や豪雨災害は年々激しさを増しており、人手が足りない状況は「危険水域」に達している。
本来なら3人は必要
20年7月、九州豪雨の発生から3週間後に開かれた参院災害対策特別委員会。「九州地方整備局では、大変な苦労をしながら人を絞り出していただいている。人員の充実をやっていかなければならない」。豪雨で大きな被害を受けた熊本県が選挙区の馬場成志参院議員はこう指摘した。
これに対し、国交省幹部は、01年1月に国交省が発足以降、地方整備局の定員が約2割減ったと説明したうえで、「発災時の初動対応、国民の命や暮らしを守るための的確な対応で、多くの課題に直面している」と人員減の影響を認めつつ、「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化といった重要課題に的確に対応するために必要な人員の確保に努力する」と答弁した。
国交省の下部組織である地方整備局は東北、関東など全国に8カ所置かれ、公共事業、インフラ整備、災害対応などを行っている。地方整備局の下に、河川、道路、港湾・空港といった事務所がある。出張所は事務所のさらに出先の機関として位置している。
出張所の業務は、…
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