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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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「あなたに救われた」夫を捜して出会った2人「万里の長城」を歩く

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夫を亡くした堀子朝子さん(左)と高嶋キヨさん。堀子さんの夫が亡くなった防潮堤が散歩コースになった=岩手県宮古市田老で2021年2月28日午後3時18分、安藤いく子撮影
夫を亡くした堀子朝子さん(左)と高嶋キヨさん。堀子さんの夫が亡くなった防潮堤が散歩コースになった=岩手県宮古市田老で2021年2月28日午後3時18分、安藤いく子撮影

 添い遂げるはずだった夫を失うという同じ境遇が、2人を引き寄せた。岩手県宮古市の田老地区には、明治、昭和の津波の教訓から巨大防潮堤が建設され、それは「万里の長城」とも呼ばれた。しかし、東日本大震災の津波は巨壁を壊し、街をのみ込んだ。堀子朝子さん(81)は夫の活朗さん(当時75歳)を堤の上で失った。ふさぎ込む堀子さんを支えたのは、同じく震災で夫を亡くした高嶋キヨさん(74)。「独りじゃ寂しいけどそばにいると心強い」「姉さんみたい」。交流を重ねながら、この10年を生き抜いてきた。

 穏やかな陽気に包まれた2月末の昼。同じ災害公営住宅にそれぞれ1人で住む堀子さんと高嶋さんは、日課の散歩に出かけた。体調を崩しがちな堀子さんの歩調はゆっくり。少し前を高嶋さんが歩く。中学校前を通りかかると、高嶋さんが桜の木の前で足を止め、膨らんだつぼみを見つめた。堀子さんは「私に合わせてゆっくり歩いてくれるからおしゃべりできる。この楽しい一瞬がつらい時を忘れさせてくれる」と笑顔を浮かべる。

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