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#最後の1年 御所実高ラグビー部

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御所実ラグビー部 竹田監督 定年後は終わりなき「第2章」へ

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3年生の「卒部試合」を前に、最後のミーティングをする御所実高ラグビー部の竹田寛行監督(手前右)=奈良県御所市で2021年2月28日午後0時53分、長宗拓弥撮影
3年生の「卒部試合」を前に、最後のミーティングをする御所実高ラグビー部の竹田寛行監督(手前右)=奈良県御所市で2021年2月28日午後0時53分、長宗拓弥撮影

 卒業する3年生から次々に感謝の言葉を贈られ、複雑な感情が込み上げてきた。「私も一緒に『卒業』した方が良かったのかな」。2月28日、御所実高(奈良県御所市)のグラウンドで行われたラグビー部員24人の卒部式。3月末で定年を迎えるが、別の形でチームに残る決断をした竹田寛行監督(60)は、かすれた声でポツリと漏らした。

 30年以上にわたる教員生活の集大成となった、この冬の第100回全国高校ラグビー大会(花園)。強豪がひしめく激戦のブロックを勝ち抜き、御所実は8強に進んだ。準々決勝の相手は連覇が懸かる桐蔭学園(神奈川)。前回の花園決勝で逆転負けした因縁の相手だ。雪辱を期したものの、7-50で大敗。教員として最後の花園に臨んだが、悲願の優勝旗「飛球の旗」を手にできなかった。

次代のリーダー 育てるツール

 1989年、体育教師として御所工(現御所実)に赴任した。29歳の熱血漢は部員2人だった弱小校を13回も花園へ導いた。準優勝4回、4強2回、8強2回。心血を注いで鍛え上げ、強豪校へと育て上げた。

 公立校の教員として、大切にしてきた指導理念がある。日本一を目指すことはもちろん、地域の活性化に貢献し、次代のリーダーを担う人材を育てる。ラグビーは、その信念を貫くためのツールだと言い切る。

 指導を始めた頃から、花園常連校である天理(奈良)の壁を破ろうと、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。同一地区の伝統校を倒すという同じ目標を持った他府県の「2番手グループ校」と交流を深め、毎年夏になると、御所実のグラウンドで交流試合や合同練習を重ねた。いつしか夏の風物詩となった御所の「ラグビー祭り」は、現在は地元・御所市民らの協力を得て「御所ラグビーフェスティバル」へと発展。人口3万人に満たない御所市で、約1万人が訪れる一大イベントになった。

 竹田監督の熱意は、周囲を動かした。行政にも協力を仰ぎ、土のグラウンドに人工芝を整備。照明も完備している。入試では、県外の中学生も進学できるように一定の枠が設けられた。

 長い年月をかけて下地を築いてきたが、崩れるのは一瞬だと分かっている。「公立校は私立校よりも指導者が頻繁に代わる。伝統がうまく引き継がれず、変わってしまう姿を何度も見てきた」。私立全盛の高校…

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