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還暦記者・鈴木琢磨の、ああコロナブルー 地道に生きて、春を待つ 藤沢周平さんの散歩道

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遠藤展子さん
遠藤展子さん

 わがまちに行きつけのすし屋があるのはうれしい。すしをつまみながら、杯を傾け、ご主人や顔なじみとほんの少し言葉を交わすだけで和む。このコロナ禍にあってはなおさら。石神井公園(東京都練馬区)からほど近い創業53年になる「美幸鮨」も地元に愛されてきたまちずしの一軒だ。ごくごく普通のたたずまいだが、なぜか作家、藤沢周平さん原作の映画のポスターが張ってある。聞けば、2代目ご主人の内田昭彦さん(58)は周平さんの長女、遠藤展子さん(58)と高校時代の同級生という。しかも周平さん、ここのすしがお気に入りだったとか。

 娘から見た作家の素顔に好奇心をくすぐられたものの、ためらった。藤沢周平の世界は老いを感じるようになってから、とおあずけにしてあった。弁当で好きなおかずを最後にとっておく、あの感覚だ。映画化された「たそがれ清兵衛」も「蟬しぐれ」も題名しか知らない。そんなふうだったが、還暦を過ぎるや、体のあちこちがきしみ、病院のご厄介になりだした。仕事も在宅だ。私にもようやく読みごろがやってきたらしい。手始めに文庫…

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