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第103回全国高校野球選手権

第103回全国高校野球選手権大会(8月10~29日)の特集サイトです。

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先輩からエール/1 元プロ野球選手 稲葉篤紀さん(48) 夢舞台、力を出し切って /愛知

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元プロ野球選手の稲葉篤紀さん=(C)H.N.F 拡大
元プロ野球選手の稲葉篤紀さん=(C)H.N.F

 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に出場する中京大中京(名古屋市昭和区)。建学の精神「学術とスポーツの真剣味の殿堂たれ」を掲げる同校は、スポーツ界で活躍する人材を輩出してきた。今もさまざまな立場で存在感を発揮する先輩たちに、その礎となった高校時代を振り返り、夢舞台に臨む後輩たちへエールを送ってもらった。第1回は、中京の名称だった時の卒業生でプロ野球で活躍した稲葉篤紀さん(48)。【構成・細谷拓海】

 入学した時は新入部員が100人くらいいました。練習は予想以上にきつくて上下関係も厳しく、「駅から学校に向かう途中の上り坂は走らなければならない」など1年生だけのルールもあって大変でした。球拾いをした後に学校のまわりを何周も走る練習もあり、日に日に同級生は減っていきました。

 高校生にとって最大の目標は甲子園出場。レギュラーを勝ち取るため、どうすればレベルアップできるかを常に考えていました。練習が終わるのが夜の8、9時。家に帰って、寝て、起きたら学校へ。そんな毎日でした。

 伝統校の重圧も感じました。2年秋の愛知県大会で享栄に4―21で敗れ、OBからは「中京高校始まって以来の大敗」と言われました。「伝統を汚してはいけない」と思う一方、仲間と「享栄を倒さないと甲子園に行けないぞ」と話し練習に打ち込みました。再戦した3年夏の愛知大会で勝ち、2回戦だったのに皆で泣きました。失敗から学ぶことはたくさんあり、悔しさは自分やチームのレベルアップにつながる。あの敗戦があって良かったと思っています。

 最後の夏は決勝でイチローさん(元米大リーグ・マリナーズ)のいた愛工大名電に敗れ、甲子園には一度も出場できませんでした。今でも甲子園に出た人はすごいと思いますが、出られなくても得るものはたくさんあるとも思います。大人になって一番友達がつながっているのが高校時代なんですね。それくらいこの3年間にはいろいろなものが詰まっている。一つのことをやりきれば達成感が得られるでしょう。我慢しなければいけないことがあっても仲間と助け合い、楽しいこともある。それは社会にも通じること。大人への成長過程の3年間に学んだことは、その後に生きてくるはずです。

 2009年夏、母校が優勝を決めた甲子園決勝は内野席で観戦。甲子園に立つ後輩がうらやましかったし、ただただ「頑張れ」という思いでした。

 選手たちには、思い切ってプレーしてもらいたいですね。甲子園に立つイメージを浮かべるなど、大舞台であたふたしないよう準備をしっかりして、後はやってきたことを目いっぱいやればいい。できることをやるという気持ちで頑張ってほしいと思います。=つづく


 ■人物略歴

稲葉篤紀(いなば・あつのり)さん

 1972年生まれ、愛知県出身。法大からドラフト3位で95年にヤクルト入りし、2005年に日本ハムへ移籍。首位打者1回、最多安打1回。通算2167安打、261本塁打、打率2割8分6厘。日本代表では08年北京五輪、09、13年ワールド・ベースボール・クラシックに出場した。17年7月、日本代表監督に就任。

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