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大震災10年 トモダチ作戦 地域の災害救援モデルに

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 「特別な絆と揺るぎない友情の証し」。東日本大震災で米軍が展開した「トモダチ作戦」を日米両首脳は共同声明で振り返った。

 兵士約2万4000人、航空機189機、艦艇24隻を動員し捜索・救援やがれき処理に当たった。提供した食料は189トンに上る。

 壊滅的な被害を受けた仙台空港を1カ月足らずで復旧した。孤立した離島に強襲揚陸艦で電源車を届けた。多くの人命を救い、被災地の復興に汗を流した。

 大きな余震が続き、深刻な原発事故が起きるなか、リスクを取った米軍の活動は日本国民の記憶に深く刻まれた。

 他国の救援活動は、たとえ同盟国であっても容易ではない。ことばや生活様式が異なり、危機管理の組織や仕組みも違う。

 困難を極めたのが原発事故対応だった。日本政府が状況把握に手間取るなか、米軍は無人偵察機で独自に情報を収集し、事故現場に乗り込むことを想定して放射線の専門部隊を急派していた。

 米政府は日本の対応の遅さに疑念を深めた。これに対し、日本政府内には米国に主権を侵されると危惧する声もあったという。

 相互不信が解消に向かったのは、情報共有と支援検証の協議機関を設置してからだった。実効的な協調体制が整うまで時間がかかり過ぎたとの指摘もある。

 地震、津波、原発事故が重なった救援活動の教訓は貴重だ。将来の緊急事態に備え、日米は知見を国際社会と共有すべきだ。

 この10年、日米は安全保障関連法制定など軍事的関係を強めてきた。安全保障面ばかりが強調されるが、地域に貢献する「公共財」の役割を担うこともできよう。

 日米に豪印を加えたインド太平洋の枠組みは、2004年のスマトラ島沖地震での被災地救援が土台になっている。災害での協力は地域の安定にもつながる。

 その半面、同盟が抱える課題はなおざりにされてきた。

 とくに沖縄県の米軍基地負担問題は深刻だ。相次ぐ事件・事故や普天間飛行場移設問題に地元の不満は膨らんでいる。

 トモダチ作戦の成果を無にすることがないよう、日米両政府は課題の解決に動き、住民の不信を取り除く必要がある。

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