電動車椅子のリフト機能、京都市に購入補助支払い命令 地裁判決

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判決後、集会で感想を述べるライスチョウ・ジョナ・シェンさん(左)=京都市中京区の京都弁護士会館で2021年3月16日午後2時1分、添島香苗撮影 拡大
判決後、集会で感想を述べるライスチョウ・ジョナ・シェンさん(左)=京都市中京区の京都弁護士会館で2021年3月16日午後2時1分、添島香苗撮影

 購入時に補助金が支給される電動車椅子を巡り、追加機能分の補助を京都市が認めなかったのは違法などとして、難病を抱える男性が市に処分の取り消しと不認可分約6万7000円の支給を求めた訴訟の判決が16日、京都地裁であった。増森珠美裁判長は「日常生活や就学で必要だ」として、座面を上げるリフト機能分約1万1500円について、市に支払いを命じた。弁護団によると、電動車椅子の追加機能について、公費での補助を認めた判決は全国初という。

 男性は、米国籍のライスチョウ・ジョナ・シェンさん(27)=京都市上京区。全身の筋力が徐々に低下する希少難病「過剰自己貪食を伴うX連鎖性ミオパチー」を生まれつき抱え、肘から先以外は自力で動かせない。2016年3月の提訴時は京都精華大マンガ学部の4年生で、現在は漫画家として活動する。

 判決で増森裁判長は、リフト機能について「具体的な体の状態や生活環境などを考慮し、必要性を判断すべきだ」と指摘。ライスチョウさんは首を無理に曲げると気道が狭くなり、呼吸が難しくなることから「上を見るには目線を上げるしかないが(難病のため)限界がある。上の方の情報を読み取ることは、日常生活で不可欠だ」などとして、リフト機能は必要だと判断した。

 また、京都精華大での授業を受ける際にも「被写体を観察するため、見る角度を変えたり、腕の可動域を広げたりするのにリフト機能は必要だ」と指摘。市は「リフト機能のない車椅子を使っても就学できていた」と反論していたが、増森裁判長は「漫画家を目指して入学しており、単に卒業できればよいのではない」と断じた。

 一方、座る位置を保つ装置分への補助については「市の裁量の範囲内だ」として請求を棄却した。

 判決後、ライスチョウさんは京都市内で記者会見を開き「リフト機能の必要性を丁寧に拾ってくれた。個人ではなく、社会全体の問題と啓発していきたい」と述べた。同席した弁護団の吉田雄大団長は「リフト機能分の補助金の申請を、考えたこともない障害者は少なくないだろう。今回の判決が、他の障害者を勇気づけることになれば」と語った。

 一方、市は「主張の一部が認められず誠に残念。今後は判決文を確認して判断する」とのコメントを出した。【添島香苗】

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