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菅内閣発足から半年 遠のく「当たり前」の政治

新型コロナウイルス感染症対策本部の会合終了後、記者団の質問に答える菅義偉首相=首相官邸で2021年4月1日午後7時13分、竹内幹撮影 拡大
新型コロナウイルス感染症対策本部の会合終了後、記者団の質問に答える菅義偉首相=首相官邸で2021年4月1日午後7時13分、竹内幹撮影

 菅義偉内閣が発足して半年が経過した。総務省の幹部らが高額接待を受けた問題が政権を直撃する中で迎えた節目である。

 首相の「たたき上げ」イメージが好感され、携帯電話料金値下げをはじめとする実利重視の政策にも期待が集まったのだろう。昨年9月、歴代内閣の中でも高い支持率を記録してスタートした。

 ところがその後、支持率は低迷し、早くも苦境に陥っている。

 なぜだろうか。

 首相の掲げる「当たり前の政治」とはかけ離れた政権運営が続いているからではないか。

 最大の懸案である新型コロナウイルス対策は、対応が後手に回る状態がなお続いている。

 「GoToキャンペーン」事業を主導するなど、首相は経済回復を優先してきた。この結果、感染の拡大に歯止めがかからず、今年1月、東京都などを対象に緊急事態宣言の再発令に追い込まれた。

 首相の発信力が乏しく、国民にメッセージが届いていないという課題も解消されていない。

 しかも首相は昨年12月、東京・銀座のステーキ店で自民党の二階俊博幹事長や俳優らと会食した。

 専門家による政府の分科会が「5人以上の飲食」に注意を呼びかけている最中の会食に、批判が集まったのは当然だ。

 忘れてならないのは、日本学術会議の問題だ。会員候補のうち、6人をなぜ任命しなかったのか。首相はその理由を答えていない。

 6人は安全保障法制などに異を唱えた研究者である。人事権を使って異論を排除する強引な手法を、学問の世界にも広げようとしているのではないか。

 これに対し、首相は「説明できることと、できないことがある」と開き直った。だが行政は国民に説明できないことをしてはならない。それが民主政治の基本だ。

 総務省幹部が受けた高額接待も常識外れというほかない。官僚と業界に加え、政治家を含めた「政・官・業」のもたれ合いの構図が見え始めているだけに深刻だ。

 信頼を回復するのは容易ではない。まず首相は、当たり前の政治とは何かを考え直す必要がある。そして国民が今、何に不満や不信を抱いているか、謙虚に耳を傾けるべきである。

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