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第93回センバツ高校野球

第93回選抜高校野球大会の特集サイトです。3月19日から4月1日まで阪神甲子園球場での熱戦を全試合ライブ中継します。

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センバツ21世紀枠・チカラわく

/5止 成章(08年・愛知)、小山台(14年・東京)

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第80回大会で愛知・成章のエースとして出場した小川泰弘投手=阪神甲子園球場で2008年3月27日、矢頭智剛撮影 拡大
第80回大会で愛知・成章のエースとして出場した小川泰弘投手=阪神甲子園球場で2008年3月27日、矢頭智剛撮影

得た自信、プロ人生に

 2008年の第80回センバツ大会の21世紀枠、愛知・成章のエースとして甲子園のマウンドに上がった。あの日から13年。昨季無安打無得点試合を達成するなどプロ野球・ヤクルトのエースに成長した小川泰弘投手(30)は「選ばれた時のみんなの喜びはすごかったな」と当時を思い出し、頰を緩める。

 渥美半島に位置する同校は文武両道の県立高で100年を超す歴史がある。2年秋の愛知大会で強豪・愛産大三河を降して4強入り。先輩たちの3年連続8強に続く健闘も評価され、21世紀枠に選出された。

 思い出すのは開幕試合だった初戦。試合は中盤逆転を許し苦しい投球が続いた。だが、先輩が帽子のつばの裏に書いてくれた「一瞬の苦しみから逃げたら一生の後悔」という言葉が目に入った。「このままでは後悔してしまう」と強気で内角を攻めて粘り強く投げた。すると八回に味方打線が逆転。同校の甲子園初勝利を完投で飾った。

 「力を出し切れば、勝ちきれる。どれだけ自信を持って力を出し切れるかが大事」。あの舞台でつかんだもの。プロとなり、日本シリーズ出場など場数を踏んだ今も変わらない信念だ。

        ◇

第86回大会に東京・小山台のエースとして出場し、力投を見せた伊藤優輔投手=阪神甲子園球場で2014年3月21日、小関勉撮影 拡大
第86回大会に東京・小山台のエースとして出場し、力投を見せた伊藤優輔投手=阪神甲子園球場で2014年3月21日、小関勉撮影

 20年のドラフトで4位指名され巨人に入団した伊藤優輔投手(24)も21世紀枠選出校出身だ。14年の第86回大会に東京・小山台のエースとして出場。「あの舞台に立てたからこそ見えたものがある」と語る。

 前年秋の東京大会では堀越、早稲田実、日大豊山と有力校を破り8強入り。強豪私立校が集まる激戦区で、公立校が見せた快進撃は「都立の星」と評されたが、甲子園で待っていたのは厳しい現実だった。1回戦の履正社(大阪)戦に先発したが、8回を投げて8三振を奪ったものの11失点。打線も振るわず0―11と完敗し、都立校の甲子園初白星はつかめなかった。

 悔しい結果だったが本気で全国制覇を目指す同年代の技術や気迫にじかに触れ、「大きな転換点になった。もっとうまくなりたい、勝てる投手になりたいという気持ちがわき上がった」。

 卒業後も向上心は尽きず、中央大、社会人の三菱パワーを経てプロ入りを果たした。「なかなか甲子園に出る機会がない学校にチャンスが与えられる。自分のように野球人生が大きく変わる可能性もある」と21世紀枠のさらなる発展を期待する。

 あの日の甲子園のマウンド、少しだけ後悔がある。「投げることにいっぱいいっぱいで、あの舞台を楽しめなかった。勝ち負けも大事だが、甲子園で野球ができることを楽しんでもらいたい。それがその先の人生に生きてくる」。21世紀枠で甲子園に立ち、未来を変えた先輩からのエールだ。【中村有花、角田直哉】=おわり

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