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先月のピカイチ 来月のイチオシ

毎月数多くの公演に足を運び耳を傾けている鑑賞の達人が、1カ月で最も印象に残った演奏と、これから1カ月で聴き逃せないプログラムを紹介します。

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先月のピカイチ 来月のイチオシ

プログラムの妙と明晰な演奏が光ったヴァイグレ&読響の1月定期……21年1月

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昨年末に来日したヴァイグレは、読響とともに定期や「第9」公演、二期会オペラと八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せた (C)読売日本交響楽団
昨年末に来日したヴァイグレは、読響とともに定期や「第9」公演、二期会オペラと八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せた (C)読売日本交響楽団

 首都圏における緊急事態宣言が3月21日まで延長され、海外からの入国規制も継続されている(3月15日時点)ことから演奏会やオペラ公演の本格再開は依然として不透明な状況となっている。そこで今回の「先月のピカイチ、来月のイチオシ」連載は、昨年終盤から今年2月までの間、開催された公演の中から「今冬のピカイチ」を、4・5月に開催予定の公演から「今春のイチオシを」選者の皆さんにチョイスしていただきました。

◆◆20年12月~21年2月◆◆ 東条碩夫(音楽評論家)選

〈大阪フィルハーモニー交響楽団 第544回定期演奏会〉

1月29日(金)フェスティバルホール(大阪)

エリアフ・インバル(指揮)/大阪フィルハーモニー交響楽団

プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調「古典交響曲」/ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調

インバルの大阪フィルへの客演は今回で3度目=大阪フィル1月定期より (C)飯島隆
インバルの大阪フィルへの客演は今回で3度目=大阪フィル1月定期より (C)飯島隆

〈読売日本交響楽団 第605回定期演奏会〉

1月19日(土)サントリーホール

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)/成田達輝(ヴァイオリン)/読売日本交響楽団

R・シュトラウス:交響詩「マクベス」/ハルトマン:葬送協奏曲/ヒンデミット:交響曲「画家マティス」

音楽監督・尾高忠明により整備された最近の大阪フィルが、優れた客演指揮者インバルのもとでつくり出した超弩級(どきゅう)の快演がこのショスタコーヴィチの「10番」。破壊的な激しさと完璧な均衡とを併せ有したインバルの指揮はやはりすごかった。それと甲乙つけ難い見事な演奏が、ヴァイグレと読響の「画家マティス」である。オルガンの響きのような均整美を備えた金管のコラール、清澄な音色の弦など、この晦渋(かいじゅう)な曲がこれほど明晰(めいせき)に美しく再現された例を私は他に知らない。

◆◆4~5月◆◆ 東条碩夫(音楽評論家)選

〈東京・春・音楽祭 イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.2〉

4月19日(月)、21日(水) 東京文化会館大ホール

リッカルド・ムーティ(指揮)/東京春祭オーケストラ

ヴェルディ:歌劇「マクベス」(演奏会形式)

東京春祭のアカデミーは若手指揮者やコレペティートル、歌手をムーティが指導する「リッカルド・ムーティ イタリア・オペラ・アカデミー」のいわゆる東京版 (C)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡
東京春祭のアカデミーは若手指揮者やコレペティートル、歌手をムーティが指導する「リッカルド・ムーティ イタリア・オペラ・アカデミー」のいわゆる東京版 (C)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡

〈第59回大阪国際フェスティバル2021 4オケの4大シンフォニー2021〉

4月17日(土)フェスティバルホール

久石譲(指揮)/日本センチュリー交響楽団…ベートーヴェン:交響曲第8番

尾高忠明(指揮)/大阪フィルハーモニー交響楽団…ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

オーラ・ルードナー(指揮)/大阪交響楽団…メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」

飯守泰次郎(指揮)/関西フィルハーモニー管弦楽団…シベリウス:交響曲第2番

ムーティ指揮の「マクベス」は、昨年3月に予定されながらコロナ禍のため延期されていたもの。今年も未だ不確定要素はあるものの、今度こそは実現をと願わずにはいられない。なお、これとは別にムーティが若い音楽家たちを指導しての同曲抜粋上演、また彼自身が同作品の解説を行う一夜も予定されている。一方、恒例行事となった大阪の「4オケ」は、上記4楽団が1ステージでそれぞれ順番に自慢の演奏を聴かせる奇想天外の公演だ。1回の演奏会で大阪の4オケを聴け、かつその実力を比較できるというおトクなイベント。例年、どのオケもすさまじく気合の入った演奏をして「闘う」から面白い。


◆◆20年12月~21年2月◆◆ 柴田克彦(音楽ライター)選

〈読売日本交響楽団 第605回定期演奏会〉

1月19日(土)サントリーホール

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)/成田達輝(ヴァイオリン)/読売日本交響楽団

R・シュトラウス:交響詩「マクベス」/ハルトマン:葬送協奏曲/ヒンデミット:交響曲「画家マティス」

〈岡本侑也──無伴奏〉

2月28日(日)トッパンホール

岡本侑也(チェロ)

J・S・バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番/ヒンデミット:無伴奏チェロ・ソナタ/デュティユー:ザッハーの名による3つのストロフ/藤倉大:osm~無伴奏チェロのための、他

年末〜年頭に行われたヴァイグレ&読響の公演はどれも充実著しく、両者の絆の深まりと、中音主体にまとまった中欧・東欧的サウンドの妙=ドイツ人指揮者が常任である意義を、心底実感させられた。中でも上記のドイツ・プロは圧巻。この超渋い演目(これ自体も評価したい)を緻密な構築と精妙なバランスで明快に聴かせ、多大な感銘をもたらした。岡本侑也の無伴奏プロも、空前絶後の演目を豊潤な音色で縦横に弾き分けた感嘆の快演!

◆◆4~5月◆◆ 柴田克彦(音楽ライター)選

〈新国立劇場「夜鳴きうぐいす/イオランタ」新制作〉

4月4日(日)、6日(火)、8日(木)、11(日)新国立劇場

高関健(指揮)/ヤニス・コッコス(演出)/東京フィルハーモニー交響楽団/三宅理恵(夜鳴きうぐいす)/大隈智佳子(イオランタ)、他

ストラヴィンスキー:歌劇「夜鳴きうぐいす」/チャイコフスキー:歌劇「イオランタ」

ヤニス・コッコスによる「イオランタ」の舞台スケッチ
ヤニス・コッコスによる「イオランタ」の舞台スケッチ

〈東京交響楽団 第689回定期演奏会〉

4月17日(土)サントリーホール

原田慶太楼(指揮)/服部百音(ヴァイオリン)/東京交響楽団

ティケリ:ブルーシェイズ/バーンスタイン:セレナード/ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調

新国立劇場の2作は、ダブル・ビル(2本立て)&ロシア・オペラという、オペラ芸術監督としての大野和士の新機軸が二つ盛り込まれた注目の公演。舞台上演のまれな2作を同時に堪能できる楽しみもあるし、音楽の的確な彫琢(ちょうたく)に磨きがかかっている高関健への期待も大きい。もう一つは米国が拠点ながら日本でも活躍目覚ましい原田の「東響正指揮者就任記念コンサート」を。こだわりの米露プロも魅力の本公演は、刺激と活力に充ちたライブへの期待十分だ。


◆◆20年12月~21年2月◆◆ 池田卓夫(音楽ジャーナリスト)選

〈Music Program TOKYOプラチナ・シリーズ第5回 フランチェスコ・メーリ〉

2月13日(土)東京文化会館小ホール

フランチェスコ・メーリ(テノール)/浅野菜生子(ピアノ)

ロッシーニ:「音楽の夜会」より〝約束〟/ドニゼッティ:「ああ、思い出しておくれ、美しいイレーネ」/ベッリーニ:「お行き、幸せなバラよ」、他

「トスカ」のカヴァラドッシに続き、リサイタルでもイタリア・オペラの魅力を余すところなく披露したメーリ(C)飯田耕治
「トスカ」のカヴァラドッシに続き、リサイタルでもイタリア・オペラの魅力を余すところなく披露したメーリ(C)飯田耕治

〈読売日本交響楽団 第605回定期演奏会〉

1月19日(土)サントリーホール

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)/成田達輝(ヴァイオリン)/読売日本交響楽団

R・シュトラウス:交響詩「マクベス」/ハルトマン:葬送協奏曲/ヒンデミット:交響曲「画家マティス」

〈イザベル・ファウスト&アレクサンドル・メルニコフ〉

1月26日(火)王子ホール

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)/アレクサンドル・メルニコフ(ピアノ)

シューマン:ヴァイオリン・ソナタ第1番イ短調/ウェーベルン:ヴァイオリンとピアノのための4つの小品、他

コロナ禍長期化の間隙(かんげき)をついて来日、長期滞在したヨーロッパの名演奏家が日本の聴衆との深い結びつきを確かめ、素晴らしい音楽の時間を紡いだ。メーリは新国立劇場「トスカ」再演でカヴァラドッシを歌った後も残り、全国3か所をリサイタルで回った。美しく磨き抜かれたイタリア語の発音、全身を無理なく共鳴させた発声で確かな様式感を備えた「ザ・テノール!」の真価を、贅沢(ぜいたく)にも小ホールで満喫できた。

◆◆4~5月◆◆ 池田卓夫(音楽ジャーナリスト)選

〈東京交響楽団 第689回定期演奏会〉

4月17日(土)サントリーホール

原田慶太楼(指揮)/服部百音(ヴァイオリン)/東京交響楽団

ティケリ:ブルーシェイズ/バーンスタイン:セレナード/ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調

原田慶太楼もまた、コロナ禍の音楽界に明るい光をもたらした若手指揮者のひとり。4月には東響の正指揮者に就任する (C)T.Tairadate / TSO
原田慶太楼もまた、コロナ禍の音楽界に明るい光をもたらした若手指揮者のひとり。4月には東響の正指揮者に就任する (C)T.Tairadate / TSO

〈東京ニューシティ管弦楽団 第139回定期演奏会〉

5月15日(土)東京芸術劇場コンサートホール

杉山洋一(指揮)/高橋悠治(ピアノ)/東京ニューシティ管弦楽団

レスピーギ/組曲「鳥」/ニッコロ・カスティリオーニ:「クォドリベット」~ピアノと室内オーケストラのための小協奏曲 (1976)/マルトゥッチ:交響曲第2番ヘ長調

〈大阪交響楽団 第112回名曲コンサート〉

4月28日(水)ザ・シンフォニーホール

小林資典(指揮)/田村響(ピアノ)/大阪交響楽団

ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲/同:ピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」/ブラームス:交響曲第2番ニ長調

イチオシではあえて、国外組マエストロたちが指揮する演奏会に焦点を当ててみた。2020年3月から2021年2月までの11カ月間ほぼ日本にとどまり、本来契約していた客演だけでなく全国北から南までの代役指揮を引き受け気を吐いた原田慶太楼は、4月の東響正指揮者就任記念定期で米国から戻ってくる。ミラノを拠点に同時代音楽の作曲家&指揮者、教育者として活躍する杉山洋一、ドイツのドルトムント市立歌劇場第1指揮者(エアステ・カペルマイスター)兼音楽総監督(GMD)代理の小林資典にも注目を!


◆◆20年12月~21年2月◆◆ 毬沙琳(音楽ジャーナリスト)選

〈庄司紗矢香&ヴィキングル・オラフソン デュオ・リサイタル〉

20年12月23日(水)サントリーホール

庄司紗矢香(ヴァイオリン)/ヴィキングル・オラフソン(ピアノ)

J・S・バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第5番へ短調/バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第1番/プロコフィエフ:5つのメロディ/ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番

庄司紗矢香とオラフソンは隔離期間を経て山形、愛知、東京など全国7都市をめぐるツアーを行い室内楽の妙を響かせた=写真は20年12月15日、アクトシティ浜松における浜松公演 (公財)浜松市文化振興財団
庄司紗矢香とオラフソンは隔離期間を経て山形、愛知、東京など全国7都市をめぐるツアーを行い室内楽の妙を響かせた=写真は20年12月15日、アクトシティ浜松における浜松公演 (公財)浜松市文化振興財団

〈二期会創立70周年記念公演 東京二期会「タンホイザー」新制作〉

2月17日(水)東京文化会館大ホール

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)/読売日本交響楽団/キース・ウォーナー(原演出)/片寄純也(タンホイザー)/大沼徹(ヴォルフラム)/田崎尚美(エリーザベト)/板波利加(ヴェーヌス)、他

ワーグナー:「タンホイザー」(フランス国立ラン歌劇場との提携公演)

この3カ月オーケストラ、オペラ、リサイタルで数々の名演がある中で、庄司紗矢香とオラフソンのデュオを一番にした。自身の内なる音に向き合う庄司のヴァイオリンが、明晰なバッハ、透徹な響きのバルトーク、どこまでも歌うブラームスと弾き分けるオラフソンのピアノと奏でる濃密な音楽は、これまでに聴いたことのない別次元の室内楽だった。二期会の「タンホイザー」は急遽(きゅうきょ)登板となった読響常任指揮者のヴァイグレが、コロナ禍の編成でも十分にワーグナーの意図を音で表現し、12月から当団と積み重ねてきた演奏会の集大成のような好演。一方でリモート演出の限界、演出の深化というオペラの根幹について考えるところもあった。

◆◆4~5月◆◆ 毬沙琳(音楽ジャーナリスト)選

〈新国立劇場「夜鳴きうぐいす/イオランタ」新制作〉

4月4日(日)、6日(火)、8日(木)、11(日)新国立劇場

高関健(指揮)/ヤニス・コッコス(演出)/東京フィルハーモニー交響楽団/三宅理恵(夜鳴きうぐいす)/大隈智佳子(イオランタ)、他

ストラヴィンスキー:歌劇「夜鳴きうぐいす」/チャイコフスキー:歌劇「イオランタ」

〈都響スペシャル4/25&第925回定期演奏会Bシリーズ〉

4月25日(日)、4月26日(月)サントリーホール

大野和士(指揮)/藤村実穂子(メゾ・ソプラノ)/ニコライ・シュコフ(テノール)

ショスタコーヴィチ:交響曲第1番へ短調/マーラー:大地の歌

Show must go onの姿勢で上演を続けている新国立劇場、オペラ芸術監督の大野和士が掲げるコンセプトの一つでもある新制作、ダブル・ビル(2本立て公演)のプログラムが実現する。ストラヴィンスキーとチャイコフスキーによるロシア珠玉のおとぎ話を指揮の高関健が、テノールのヴィタリ・ユシュマノフ以外全員日本人キャストでどう仕上げるか楽しみだ。3月の同劇場「ワルキューレ」で自ら指揮台に上がる大野とフリッカの藤村実穂子が、都響の新シーズンを飾るマーラーで再び共演する「大地の歌」にも注目したい。


◆◆20年12月~21年2月◆◆ 宮嶋極(音楽ジャーナリスト)

〈二期会創立70周年記念公演 東京二期会「タンホイザー」新制作〉

2月21日(日)東京文化会館大ホール

セバスティアン・ヴァイグレ(指揮)/キース・ウォーナー(原演出)/読売日本交響楽団/芹澤佳通(タンホイザー)/清水勇磨(ヴォルフラム)/竹多倫子(エリーザベト)/池田香織(ヴェーヌス)、他

ワーグナー:「タンホイザー」(フランス国立ラン歌劇場との提携公演)

ヴァイグレの棒のもと歌手陣と読響が一体となってワーグナーの響きを作り上げた二期会の「タンホイザー」 提供:公益財団法人東京二期会(C)Lasp Inc
ヴァイグレの棒のもと歌手陣と読響が一体となってワーグナーの響きを作り上げた二期会の「タンホイザー」 提供:公益財団法人東京二期会(C)Lasp Inc

〈新国立劇場 プッチーニ「トスカ」〉

2月3日(水)新国立劇場

ダニエレ・カッレガーリ(指揮)/アントネッロ・マダウ=ディアツ(演出)/東京交響楽団/キアーラ・イゾットン(トスカ)/フランチェスコ・メーリ(カヴァラドッシ)/ダリオ・ソラーリ(スカルピア)、他

緊急事態宣言下、大がかりなオペラ公演実現に際して関係者の苦労は並大抵のものではなかったはずだ。多くの制約のもと水準を満たすステージには心を動かされた。二期会の「タンホイザー」については当サイト「アンコール」のコーナーに拙稿をアップしているのでご覧いただきたい。

https://mainichi.jp/articles/20210306/org/00m/200/001000d

両公演とも取材したのは最終日。本番を重ねて演者の練度は上がりおのずと上演のクオリティーも高まる。このためだろうか「タンホイザー」では初回を取材した評論家やジャーナリストと筆者の評価はやや異なる。賛否あった歌手の出来について、さほどのデコボコは感じず、むしろヴァイグレの棒のもと読響と一体となって絶妙のバランスでワーグナー作品に求められる響きを具現化していたと思う。新国の「トスカ」はメーリの伸びのある美声でカヴァラドッシを聴けたのがまずは何より。こちらも歌手の粒はそろっており、同劇場の看板プロダクションでもある豪華セットを背景にした熱演にしばし、コロナ禍の憂さを忘れることができた。

 

◆◆4~5月◆◆ 宮嶋極(音楽ジャーナリスト)

〈東京・春・音楽祭 イタリア・オペラ・アカデミーin東京vol.2〉

4月19日(月)、21日(水)東京文化会館大ホール

リッカルド・ムーティ(指揮)/東京春祭オーケストラ

ヴェルディ:歌劇「マクベス」(演奏会形式)

〈NHK交響楽団4月公演〉

4月10日(土)、11日(日)サントリーホール

三ツ橋敬子(指揮)/森谷真理(ソプラノ)/福井敬(テノール)

モーツァルト:「魔笛」「コジ・ファン・トゥッテ」「イドメネオ」より/ヴェルディ:「シチリア島の夕べの祈り」より/マスネ:「ウェルテル」「タイス」」より/プッチーニ:「蝶々夫人」より

昨年、コロナ禍により大半の公演が中止に追い込まれた東京・春・音楽祭だが、今年も2度目の緊急事態宣言などで厳しい状況に直面。実行委員会ではひとつでも多くの公演を開催すべくギリギリの調整を続けている。本稿執筆時点(3月8日)の最新情報の紹介も兼ねて同音楽祭の「イタリア・オペラ・アカデミー」をイチオシに挙げた。巨匠ムーティがヴェルディの神髄を若手音楽家に伝授する企画で今年の演目は「マクベス」。巨匠の精神が反映された熱演に期待したい。ムーティによる作品解説会(9日)もリモート・システムを活用するなどして開催の見込みという。「パルジファル」は緊急事態宣言の再発出と入国制限が強化されたことにより指揮者をはじめ海外アーティストの来日が困難になったことで公演中止を余儀なくされた。「子どものためのワーグナー」はバイロイト音楽祭総監督カタリーナ・ワーグナーがリモートでリハーサルに参加するなどして実現の方向で準備中。

次点のN響4月公演は新鋭指揮者の三ツ橋敬子が同オケに初登場する。ペドロッティ国際指揮者コンクール優勝、トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝に輝き、その後、ヨーロッパでオペラを軸に活躍を続けている。筆者は学生時代の彼女の指揮を体験しているが、当時から伸びやかな音楽性と的確な指揮ぶりであったことから、以来注目している。演目は得意のオペラの名曲集だけに楽しみだ。

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