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ずさんな東電テロ対策 原発を扱う資格あるのか

 目を覆うばかりの、安全意識の欠如である。

 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で、敷地内への侵入を検知する設備に複数の故障が見つかった。

 原発には大量の核燃料がある。このため法令に基づき、核テロを防ぐ「核物質防護規定」が定められている。にもかかわらず柏崎刈羽では、第三者の侵入を防げない状態が少なくとも3年前から放置されていた。

 きっかけは今年1月、設備の一部を作業員が誤って壊したことだった。原子力規制庁は他設備も調べるよう求め、不備が判明した。

 それがなければ、穴だらけのセキュリティー対策が見過ごされていた可能性もある。

 原子力規制委員会は今回の事態を「最悪」レベルと判断した。徹底的な調査で問題点を洗い出し、厳正に処分すべきだ。

 東電は、柏崎刈羽7号機の再稼働を目指している。安全審査に合格し、早ければ今夏に営業運転する構想も描いていた。

 だが、現場では安全を軽視した、驚くような不祥事が相次いで起きている。

 昨年秋には、所員が同僚のIDカードを不正に使い、原発の心臓部にあたる中央制御室に入っていた。「完了」と報告した安全対策工事のうち、実際には4件が終わっていないことも判明した。

 今回の法令違反を受け、梶山弘志経済産業相は「このままでは再稼働できない」と語った。

 不祥事の背景について東電の小早川智明社長は、意思疎通の不足を挙げている。核物質を扱う事業者としての責任感が、経営陣から作業員まで共有されているとは思えない。

 それでも、福島第1原発の廃炉費用を稼ぎ出すために柏崎刈羽を動かすしかないというのだろうか。そんなおごった考えから、最優先すべき安全文化がないがしろにされたとすれば言語道断だ。

 福島の事故の反省が生かされないどころか、現場の危機意識のなさが問題を放置し、不信を増幅させるという悪循環が起きているのだろう。

 再稼働の審査もやり直すべきではないか。こうしたずさんな実態を改めない限り、東電に原発を動かす資格はない。

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