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鎌田慧の「忘れ得ぬ言葉」

膨大な取材メモの中から、珠玉の一言を拾い上げる。社会問題を追い続けてきた反骨のルポライターが、これまでに出会い、感銘を受けた人々を振り返り、戦後史の一こまを切り取っていく。

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鎌田慧の「忘れ得ぬ言葉」

「みんな死んじゃったね、あるのは墓ばっかりってことにだけはならないように」 菅原文太 /東京

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沖縄の基地、反原発で発言

 広島暴力団の抗争と幹部の裏切りに翻弄(ほんろう)される、若き組員の「仁義なき戦い」。イルミネーションを飾り立てた大型トラックを爆走させる、ご意見無用の「トラック野郎」。菅原文太はオイルショック後の若者たちの不安を一身に背負った、アナーキーな夢のヒーローだった。

 それから約40年たった2014年。81歳の最晩年、菅原さんに呼ばれて2度対談した。ラジオ局のスタジオが初対面。映画の危なっかしいアウトローとはまったくちがって、穏やかな、生真面目な表情が意外だった。

 何冊かの拙著と大きな字でメモられたノートが、手元に置かれてあって、意表を突かれた。周到に準備してきたのだ。おなじ東北人同士、出稼ぎ労働者などについて語り合った。

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