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和解のために 2021

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慰安婦問題 裁判自体を無効とした日本政府の対応、最善だったのか

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インタビューに答える朴裕河・世宗大教授=東京都新宿区で2020年3月6日、宮本明登撮影
インタビューに答える朴裕河・世宗大教授=東京都新宿区で2020年3月6日、宮本明登撮影

 今年に入り、日韓関係を一段と冷却化したのが、元慰安婦への賠償を命じた1月のソウル中央地裁の判決だった。国家は他国の裁判権に服さないという慣習国際法の原則である「主権免除」を認めない判断に、日本政府は強く反発している。「帝国の慰安婦」の著書で知られる韓国・世宗大の朴裕河(パク・ユハ)教授は、慰安婦問題の解決に向けたこれまでの日本の努力を認めながらも、問題の多い判決だからこそ日本政府は裁判の場で対応すべきだったと訴える(毎月、上・下2回に分けて掲載)。

「主権免除」を理由にした裁判回避は正しかったか

 さる1月8日、韓国のソウル中央地裁において、日本国家は韓国の元慰安婦に対して1億ウォン(約960万円)ずつ損害賠償をせよとの判決が出た。韓国では、判決までは大きな関心は見られなかった。ただ、文在寅(ムン・ジェイン)政権の与党「共に民主党」の国会議員は、判決の直前にこの裁判の経過について議論するシンポジウムを開いていた(李在汀<イ・ジェジョン>議員主催「『正義』に向かう旅--日本軍『慰安婦』訴訟の意味と課題」、5日)。裁判後には、勝訴の意味を説明するシンポジウムが少なくとも3回開かれている(18日、28日、2月26日)。これらは国会議員、「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、旧韓国挺身隊問題対策協議会)、日本軍「慰安婦」研究会、民主社会のための弁護士会が共同主催した。文大統領は判決を受け「困惑」を表明したから、与党の一部は大統領と異なる姿勢を取っていると言えるだろう。

 日本政府は、この訴訟に関して「主権国家はほかの国の裁判権に服さない」とする「国際法上の主権免除の原則」を掲げた。主権免除なので訴えは却下されるべきだという立場を外交ルートで韓国政府に伝え、裁判手続きには応じなかった。

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