韓国映画界で女性監督が躍進 そのきっかけとなったのは…

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ユン・ダンビ監督
ユン・ダンビ監督

 韓国映画界で女性監督の活躍が目立っている。釜山国際映画祭やロッテルダム国際映画祭などで数々の賞を取った映画「夏時間」のユン・ダンビ監督(31)もその一人だ。「#MeToo」運動が米映画界から始まったように映画界で女性が声を上げ、活躍できるかどうかは、その国の男女平等のバロメーターでもある。変わりつつある韓国社会の男女差について、ユン監督や専門家に詳しく聞いた。【大野友嘉子/統合デジタル取材センター】

 韓国映画の話に入る前に、ハリウッドの動きをおさらいしたい。

男社会のハリウッドから吹く風

 「And here are the all-male nominees(それでは候補者を読み上げます。全員、男性だけどね)」

 2018年の米ゴールデン・グローブ賞の監督賞発表で、プレゼンターのナタリー・ポートマンさんが候補者を紹介すると、会場からドッと笑いが起こった。

 アルフレッド・ヒッチコック、スティーブン・スピルバーグにクリント・イーストウッド……。名監督を思い浮かべればほとんどが男性だろう。

 それを変えようという動きもまた、米映画界から起きている。

 15年には俳優のジェニファー・ローレンスさんがエッセーで、男性共演者と比べて自身の出演料が低いと告発。16年のカンヌ国際映画祭でも、俳優で監督のジョディ・フォスターさんが、映画会社は「リスクがありすぎる」として女性監督の起用を避けていると批判した。

 さらに同年に映画界の性別による格差をなくそうと訴える「50/50 by 2020」運動、翌17年には大物プロデューサーがセクハラ疑惑で告発され、世界的な「#MeToo」運動につながっていく。

 監督賞の候補者が「全員、男性だけどね」と紹介されてから3年。今年のゴールデン・グローブ賞では、最高峰の作品賞をクロエ・ジャオ監督の「ノマドランド」が受賞した。女性として37年ぶりに監督賞にも選ばれ、話題になっている。

韓国では無差別殺人がきっかけに

 米国と軌を一にして韓国の映画界でも女性が躍進している。ベルリン国際映画祭など50以上の賞を受賞した映画「はちどり」のキム・ボラ監督。「チャンシルさんには福が多いね」のキム・チョヒ監督。そしてフェミニズム小説として一世を風靡(ふうび)した「82年生まれ、キム・ジヨン」を映画化したキム・ドヨン監督らだ。

 「はちどり」は1994年のソウルを舞台にした、14歳の少女の物語。家族や同級生との関係や、実際に当時起きた聖水(ソンス)大橋崩落事故、北朝鮮の金日成主席死去などが少女の目を通して語られる。

 韓国で女性の視点を取り入れた映画が多く生まれるようになった背景には、16年にソウル江南駅付近で起きた無差別殺人事件があるといわれる。

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