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規格外の大型新人、阪神・佐藤輝明 胸に秘めた後輩との「約束」

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日本ハムとの練習試合で、2点本塁打を放つ阪神の佐藤輝明=沖縄県宜野座村で2021年2月9日
日本ハムとの練習試合で、2点本塁打を放つ阪神の佐藤輝明=沖縄県宜野座村で2021年2月9日

 プロ野球・阪神のドラフト1位ルーキー、佐藤輝明内野手(22)の勢いが止まらない。オープン戦11試合で12球団トップの6本塁打(19日現在)と驚異的なペースでアーチを量産しており、矢野監督が26日のヤクルトとの開幕戦(神宮)での先発出場を明言するほど絶好調だ。近大時代に才能を開花させ、通算14本塁打で関西学生リーグ記録を22年ぶりに更新した逸材。当時の指導者は進化を続ける教え子に驚きを隠せないでいる。左の大型スラッガーは規格外の打棒で阪神を36年ぶりの日本一に導き、後輩との秘められた約束も果たしてみせる。

真価は「逆方向」への一発

 今年2月1日。キャンプ初日のフリー打撃に臨んだ佐藤輝は計89スイングで9本の柵越えを放った。左方向への高い放物線を描く一発が見られた一方、右方向への会心の当たりは少なかった。4日の紅白戦は3打席凡退。「プロの壁」にぶつかったかに見えた。

 だが、佐藤輝は並の新人ではなかった。キャンプ中に早くも順応し、オープン戦に入ると本領を発揮。チーム初戦の3月5日のソフトバンク戦で、昨季パ・リーグ最多勝の石川から1号を放つと、持ち前のパワフルな打撃で14日までに計4本塁打。16日には開幕カードと同じヤクルト戦で、同学年の左腕・寺島の内角攻めをものともせず、内寄りの高めの直球を引っ張って右翼席へ運んだ。右方向への一発はこれが初。内角球も巧みにさばく非凡さを見せつけた。17日には3試合連続本塁打となる6号を放ち、オープン戦の新人本塁打記録を更新。「うまく捉えることができた」と本人も納得の当たりが続く。

 新人離れした暴れっぷりに驚いているのが近大野球部の田中秀昌監督(64)だ。キャンプ序盤の佐藤輝の映像を見て「打つポイントが体から近く、体勢が開いていないから逆方向にも強い打球が飛ぶ。これから体にキレが出てきたら大丈夫でしょう」と「予言」していたが、想像以上だったという。「大学時代よりもリラックスした構えをしている。下半身をうまく使い、逆方向にホームランを打っている。大したものだ」と短期間での成長ぶりに舌を巻く。

 高校まで無名だった佐藤輝は大学で花開いたと言っていい。田中監督が指導で力を入れた…

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