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第103回全国高校野球選手権

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#最後の1年 豊橋西高野球部

卒業式の10分の答辞にあふれる思い 病もコロナも乗り越えた高校球児

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答辞に両親への感謝も込めた谷町源=愛知県立豊橋西高で2021年3月1日午前10時47分、岸本悠撮影
答辞に両親への感謝も込めた谷町源=愛知県立豊橋西高で2021年3月1日午前10時47分、岸本悠撮影

 静寂の講堂に落ち着いた声が響いていた。「在校生の皆さん、部活動を3年間、努力し続けることは大変です。でも、かけがえのない宝物を手に入れることができます」。1日に開かれた愛知県立豊橋西高の卒業式で、野球部主将を務めた谷町源(はじめ、18歳)は壇上から万感の思いで答辞を述べた。部の引退から月日がたち、見違えるように髪が伸びていた。

 右足大腿(だいたい)骨の先端が壊死(えし)、変形する「ペルテス病」を乗り越えて白球を追い続けてきた。だが、集大成のシーズンは新型コロナウイルスの感染拡大で大会が相次いで中止となった。救済措置として昨夏に実施された県内の独自大会は1回戦で敗れた。その後、猛勉強で信州大に合格した。文武両道の歩みが評価され、答辞の大役が回ってきた。

 ただ、何を話せばいいのか。文章を書くのも得意ではない。悩んだ末、新型コロナに翻弄(ほんろう)された「最後の1年」をどんな思いで過ごしたのか、飾らずに伝えることにした。壇上から仲間や親、恩師たちに語りかけた。

「僕らは一生懸命じゃなかったんでしょうか」

 休校が続いた昨年の春先、公園で仲間とキャッチボールした時に「心がすっと落ち着いた」こと。5月20日、目標だった夏の甲子園大会が中止となり、テレビで強豪校の選手たちが泣き崩れるのに、自分は涙が出ずに「僕らは一生懸命じゃなかったんでしょうか」と林泰盛監督(40)に吐露したこと。「それは違う。…

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