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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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地域の風物などを題材にしたイロハかるたは…

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 地域の風物などを題材にしたイロハかるたは、郷土かるたと呼ばれる。群馬県の「上毛かるた」が有名で「つる(鶴)舞う形の群馬県」など、県民の多くが読み札をそらんじている▲NPO法人「日本郷土かるた協会」によると、こうしたかるたは全国で千数百種あるという。たとえば、埼玉県の郷土かるたで「え」は「栄一も食べたネギ入りに(煮)ぼうとう」。深谷市出身の大実業家、渋沢栄一と名産の深谷ネギを組み合わせている▲東日本大震災の被災地でも、郷土かるたが活躍したことがある。福島県南相馬市の臨時FM局が震災から2年後、番組で市にちなんだ読み札を募集したところ、反響を呼んだ▲有志がまとめたかるたは、いまも地元で販売されている。当時、アナウンサーとして投稿を呼びかけた小林由香さん(49)は「被災地のイメージだけで見られがちだった南相馬を再発見する機会になりました」と振り返る▲鳥取県北栄町は先月、町が企画したかるたを発表した。読み札を地元の小中高生から募集し、絵札も児童生徒が描いた。「かるた作りを通じて故郷を知ってほしかった」(町教委)という▲ちなみに先ほどの渋沢の札、かつては「日本の産業育てた渋沢翁」だったが、約20年前に改定された。これを改悪だとして、当時の埼玉県議会で県議が批判した記録も残っている。コロナ禍のため、各地の郷土かるた競技会の多くは開催がままならぬ状況にある。それでも、個性的な新作がこれからも登場し続けるに違いない。

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