車いすで入れる銭湯「大津湯」 経営者が病で障害、改装して再開

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「大津湯」代表の米谷基広さん(右)と妻で若女将の智也子さん。浴槽に手すりを設置するなど、体が不自由な人も利用しやすくなった=大津市大門通の同店で2021年2月22日午後2時33分、小西雄介撮影 拡大
「大津湯」代表の米谷基広さん(右)と妻で若女将の智也子さん。浴槽に手すりを設置するなど、体が不自由な人も利用しやすくなった=大津市大門通の同店で2021年2月22日午後2時33分、小西雄介撮影

 障害のある人が安心安全に利用できる銭湯に――。大津市大門通の「大津湯」は、代表の米谷基広さん(44)が脳出血で倒れて障害が残ったことを機に、妻で若女将(おかみ)の智也子さん(47)がバリアフリー化を進め、2020年11月に再オープンした。車いすのまま利用できるよう店の入り口にスロープを設置し、浴槽には手すりをつけた。評判は上々で、京都から訪れる人もいるという。【小西雄介】

 大津湯は1959年に基広さんの両親が開業し、家族経営を続けてきた。転機が訪れたのは2017年。女将だった母が膵臓(すいぞう)がんで亡くなり、会社員だった智也子さんは退職して番台に立つように。義父を介護しながら掃除を手伝うなどしたが、基広さんの負担は増していった。

 午前0時の営業終了後、収支計算や商品の在庫管理などを行い、遅い日は6時に就寝。正午に起床して釜を沸かし、浴槽を清掃した。定休日も仕入れなどに追われ、休む時間はなかった。

 そんな生活が2年ほど続いた19年3月、基広さんはロビーの椅子から前のめりに倒れた。一命は取り留めたものの、右半身にまひが残って言葉が出づらくなり、支援や見守りが必要な「要介護3」と認定された。銭湯は営業休止を余儀なくされた。

営業休止を経て再オープン

 そこで、智也子さんは「誰もが安心して入れる銭湯にしよう」とバリアフリー化を決意。知人の建築士に依頼して工事が始まった。しかしその矢先、智也子さんも心労が重なり、左足にまひが生じて2カ月半入院。症状は残ったが、夫を介護しながら改装を進め、昨年11月に再オープン。新たにスタッフ5人を雇い、清掃や釜場を分担する。

 車いすに乗ったまま浴室に入れるよう防水の車いすを2台用意し、入り口で乗り換えてもらう。男女ともシャワーの1台は頭上と左右から水が出るよう改装し、ボタン一つで全身を洗い流せるように。洗い場から浴槽に向けて手すりと長方形の台を設置。台に車いすを寄せて、体を台の上にスライドさせ、手すりにつかまりながらゆっくり入水できる。車いすのまま利用できる銭湯は全国でも珍しいという。

 再オープンから4カ月。障害がある人や体が不自由な人の利用が増えた。手助けをすると「ごめんな」「悪いな」と謝る人が多いという。智也子さんは「『ごめん』やなくて、『ありがとう』でええんやで。遠慮せんと、気軽に入りに来てな」と優しくほほえんだ。

 営業時間は午後3時~午前0時。水曜定休。新型コロナウイルス対策のため、入場人数を3時間ごとに50人に制限している。入浴料は大人450円、小学生150円、未就学児100円。問い合わせは、大津湯(077・523・1158)。

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