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<センバツ甲子園>
粘りに粘った末のサヨナラ勝ち――。3年連続5回目の春の甲子園に臨んだ明豊は大会第3日の22日、21世紀枠で初出場の東播磨(兵庫)との延長十一回の激闘を制した。先制を許し、同点に追い付き、突き放されて、また逆転し、と波乱の展開。最後の最後までどちらが勝つかわからず、試合の行方を固唾(かたず)をのんで見守った一塁側アルプススタンドからは「おめでとう」と歓声と拍手が沸いた。【辻本知大、橋本陵汰】
試合は序盤から激しく動いた。一回表、東播磨が3点を先取。思わぬ展開に、明豊の一塁側スタンドは静まりかえった。
しかし続く一回裏、主砲の米田友(3年)が2点二塁適時打を放ち、打順は竹下聖人(2年)に。竹下の母・一美さんは「私の方が緊張してちゃんと見れなかった。聖人は甲子園を夢見てたので、打席に立つ姿を見るだけでうれしい」。その竹下が右前打を放ち、すぐに同点に追い付いた。
しかし、東播磨は粘りを見せ、六回表に1点を返して再び同点に。その裏、明豊は1死満塁の好機で、黒木日向(3年)が右中間に3点適時三塁打を放って、この回に4点差をつけて突き放した。黒木の父、克寿さん(55)は「ずっとヒヤヒヤする試合。打撃が良いのは冬の練習の成果かな」と笑顔を見せた。
ところが、東播磨は七回に3点、土壇場の九回に1点を挙げ、驚異的な粘りを見せた。
それでも、9―9で迎えた延長十一回、米田の安打などで満塁の好機を作り、相手投手の暴投で、黒木が生還。薄氷の勝利をつかんだ。
昨秋の九州地区大会は、打撃力の不足を、安定した投手陣が支えたが、初戦は逆の展開に。制球に苦しむ投手陣を、12安打10得点、と強打が支えた。
4月に明豊野球部に入部予定の中学3年、真田智紀さん(15)は「自分たちとはバットを振る力が違う。スイングが鋭い」と目を輝かせた。保護者の和才竜也会長も「どんな形でも勝ってくれればいい。よくやった」と喜びを爆発させた。
OB スタンドに駆け付け
〇…スタンドには新型コロナウイルスのために昨年のセンバツに出場できなかった野球部OBも応援に駆け付け、大舞台で躍動する後輩たちにエールを送った。
安部翔永さん(18)は「自分たちのセンバツは中止だったので、甲子園で戦えるのを見てめちゃくちゃ羨ましい」と話した。試合前、本多広人(3年)などに「気持ちを楽に、頑張ってくれ」とLINEでメッセージを送った。後輩たちが初戦を突破し「観客も入っていて最高の舞台。自分たちができなかった夢を追ってほしい」。
昨夏のセンバツ交流試合に二塁手として出場した中尾圭さん(18)は「打撃が見違えって良くなった」と目を細めた。試合が終わるとOBは大きく手を上げて勝利を喜び、「自分たちの果たせなかった日本一をつかんでほしい」と口をそろえた。【辻本知大】
■青春譜
先輩、球友の分まで 黒木日向二塁手=3年
六回1死満塁。同点の場面で打順が回ってきた。初球を振り抜き、走者一掃の三塁打で勝ち越し。更に同点で迎えた延長十一回に出塁し、サヨナラのホームを踏んだ。
春夏を連覇した古豪・津久見高の近くで生まれた。中学では俊足強打で鳴らし、チームで主将を務めた。しかし、高校は古里を離れて明豊に。「絶対に甲子園に行きたい。夢への近道だった」。
両親と別れて、15歳の春からの寮生活。一心に野球に打ち込んだが、思ってもみない数奇な展開が待ち受けていた。
2年の春、センバツの切符を勝ち取ったのに、新型コロナの影響で中止に。先輩が甲子園の土を踏めない姿を目の当たりにした。更に夏の県予選では、津久見が明豊を破って頂点に。だが、その津久見も新型コロナで甲子園の夢を閉ざされた。
年が明けて、ようやく巡ってきたセンバツ。「俺たちの分まで頼むぞ」と先輩から肩をたたかれ、中学時代に一緒だった津久見高の部員からもLINEで「頑張れよ」とエールを送られた。
晴れ舞台に立てなかった明豊の先輩と、地元の球友の思いを胸に戦い、4打数3安打と大当たり。東播磨の粘りに苦しみぬいたチームを勝利へと導いた。
「甲子園に行けなかった人の分まで、しっかり暴れてきたいと誓った。勝てて良かった」【辻本知大】
▽1回戦
東播磨
30100130100=9
30200400001=10
明豊
(延長十一回)
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