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LINEの個人情報 ずさんな管理、解明が必要

 国内約8600万人が利用する無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、個人情報保護がないがしろにされてきた。利用者に不安や不信が広がっている。

 十分に説明しないまま、氏名や電話番号、メールアドレス、IDなどを中国の関連企業が閲覧できる状態にしていた。2018年8月以降、中国側から計32回のアクセスが確認されている。

 さらに、利用者間でやり取りされる画像や動画が韓国内で保管され、現地子会社の社員がアクセスできたことも判明した。

 個人情報保護法は、国外の事業者に個人データを提供したり、海外からのアクセスを可能にしたりする場合、利用者本人の同意を義務付けている。

 ラインは利用規約に「個人情報を第三国に移転する可能性がある」と記していた。しかし、こんなあいまいな説明では、本人の具体的な同意を取り付けたことにはならないだろう。

 中国は民間企業に国の情報活動への協力を義務付ける国家情報法を施行している。中国当局に利用者情報が渡るリスクがあり、日本政府内には「安全保障上も重大な問題」と懸念する声がある。

 ラインは「情報漏えいや外部からの不正なアクセスはない」と説明している。だが、本当に個人情報の漏えいがなかったのか、なぜ外国企業に閲覧権限を与えたのか、など疑問は山積している。

 10年前の東日本大震災時に安否確認が難しかったことを背景に、ラインは誕生した。近年は住民票の交付申請から、いじめなどの相談、新型コロナウイルス感染者の健康状態の把握まで公的サービスに幅広く利用されてきた。

 今回の事態を受けて、政府や多くの自治体が利用を停止した。コロナワクチン接種の予約で利用を計画している一部の自治体では、戸惑う声が出ている。

 ラインは第三者委員会で情報管理の問題点を検証する。総務省や個人情報保護委員会は、これを踏まえ行政処分を検討する方針だ。

 だが、事業者任せで、ずさんな情報管理の実態を解明できるのだろうか。国は立ち入り検査も検討すべきだ。多くの国民に影響する問題だけに、きちんと対応する必要がある。

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