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米中外交トップ会談 対立制御し新冷戦回避を

 米中の外交トップがバイデン政権発足後初めて米アラスカ州で会談した。人権や民主主義など普遍的な価値観や国際秩序のあり方をめぐり、米中の立場の違いが浮き彫りになった。

 会談では冒頭、記者団を前に批判の応酬が続いた。ブリンケン米国務長官は香港や新疆ウイグル自治区の人権問題、台湾への圧力強化などを列挙し、「ルールに基づいた国際秩序を脅かしている」と中国を批判した。

 中国外交を統括する楊潔篪(ようけつち)共産党政治局員は「中国が支持するのは国連中心の制度だ。少数が提唱する秩序ではない」などと反論した。また、内政不干渉の原則を盾に台湾や香港問題では譲らない姿勢を強調した。

 米議会には党派を超えた対中強硬論が渦巻く。一方、「大国外交」を掲げる中国の習近平国家主席は米国と対等に渡り合うように求めている。どちらも弱腰とは見られたくなかったのだろう。

 米側は日韓と意見調整した上で会談に臨んだ。東シナ海での中国の行動を懸念する日本など同盟国に配慮を示し、トランプ前政権との違いを強調する狙いもあった。

 それでも2日にわたった会談では経済から軍事まで幅広い分野について議論し、気候変動に関する作業部会設置で一致した。ブリンケン氏はイラン、北朝鮮問題についても「利益が重なっている」と協力に前向きな姿勢を示した。

 気候変動など地球規模の問題では両大国の協力が欠かせない。緊張が高まれば、コロナ禍からの世界経済の回復にも悪影響を与える。対立を制御し、新冷戦への発展を避ける仕組みが必要だ。

 対立緩和には中国が対外強硬姿勢を見直し、自制を示す必要がある。米国も冷戦期のような「中国包囲網」を目指すべきではない。どの国も米中どちらかの選択を迫られる事態を望んではいない。

 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)では、中国を名指しして批判した。このため、日中関係の行方を懸念する声が出ている。

 米国との同盟関係を重視し、中国に言うべきことを言うのは当然だ。同時に緊張を高めない努力も欠かせない。日本も中国との対話を継続していく必要がある。

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