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第93回選抜高校野球 京都国際きょう初戦、チームを鼓舞 08年夏・府8強、元主将李さん /京都

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グラウンドで後輩たちと言葉を交わす李勇樹さん(左)=京都市東山区の京都国際高校グラウンドで、中島怜子撮影 拡大
グラウンドで後輩たちと言葉を交わす李勇樹さん(左)=京都市東山区の京都国際高校グラウンドで、中島怜子撮影

 <センバツ2021>

「勝って貪欲に人生変えて」 元主将李(イ)さん

 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に、春夏通じて初の甲子園出場を果たした京都国際。24日の初戦の勝利を、誰よりも願う人がいる。8強入りを果たした2008年夏の京都大会で当時、主将としてチームを引っ張った李勇樹(イヨンス)さん(30)=大阪市東淀川区=だ。【中島怜子】

 同市生野区出身。小学生の頃には既に「野球でメシを食う」と考えていた。京都国際への進学を決めたのは「野球に集中できる環境が整っている」と感じたからだった。2歳上の兄が在籍していたことも後押しとなり、自身も門をくぐった。

 入部後は練習の厳しさに毎日、辞めたいと考えていた。練習が終わると、学校の敷地内にある寮に帰る。甘えられない環境の中で、空いた時間に体育館で仲間とバレーボールをするのが息抜きだった。それでも、勝ちたい気持ちだけは最後まで失われなかった。「勝つために練習しているので『勝たないとダメだよな』という意識と根拠の無い自信が、僕たちにはあった」

 努力が最初に実を結んだのは3年生の春、近畿大会への出場だった。京都国際にとっても、初の近畿大会。府外のチームと初めて公式戦で戦い、自分たちの実力を客観的に見られると前向きに挑んだ。1回戦で大阪桐蔭と対戦し「五回以降は打ち込まれ、負けてしまったけれど」と笑う。

 最後の夏、5年ぶりの8強入りを果たした京都大会。快挙とは裏腹に、4強入りを懸けた準々決勝での敗退は、高校生活で一番悔しかった、ほろ苦い思い出だ。調子がなかなか上がらず、力を出し切れないナインの姿に「普段はもっと打てるのに」と歯がゆさだけが募った。「勝ち進んでも調子が上がらないのを見て『これ以上はダメかも』と思っていた」と打ち明ける。

 当時、チームの主力として活躍していたナインには、現在は韓国プロ野球・斗山ベアーズで活躍する申成鉉(シンソンヒョン)選手などがいた。「このチームで甲子園に行けなければ、後はもう行けないと思っていた」。それだけに19年夏の京都大会で、母校が決勝に進出した時の驚きは大きかった。試合は敗れたが、球場に足を運び、後輩たちの姿を見て「ここまで来たのか」と感じた。

2014年の社会人野球日本選手権で、西濃運輸の選手として活躍した李勇樹さん(右)=京セラドーム大阪で2014年11月、西本勝撮影 拡大
2014年の社会人野球日本選手権で、西濃運輸の選手として活躍した李勇樹さん(右)=京セラドーム大阪で2014年11月、西本勝撮影

 自身は関西大に進学し、卒業後は社会人野球の強豪・西濃運輸(岐阜県大垣市)に入社。プロ入りを目指し、14年都市対抗野球の優勝にも貢献したが、16年にプロの道を諦めて退社した。バックパッカーとして1年間、世界を旅し、現在はアパレル会社の営業として汗をかく。「高校時代のつらさを乗り越えられたから、今も頑張れる」と明かす。

 李さんが甲子園出場まで迫ったあの時から13年後、後輩たちが聖地の土を踏む。「勝つか負けるかで大きく違う。勝って、貪欲に自分の人生を変えていってほしい」。勝つことを最後まで諦めなかった、かつての高校球児が送る、心からのエールだ。

 京都国際は大会第5日の24日、第2試合(午前11時40分開始予定)で、同じく甲子園初出場の柴田(宮城)との初戦を迎える。

〔京都版〕

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