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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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古代ギリシャでも…

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 古代ギリシャでも祭典を盛り上げるたいまつのリレーはあったという。「ランパデドゥロミア」と呼ばれたそうだ。しかし、こと古代オリンピックでは聖火の採火も、リレーも、点火式も行われたことがない▲オリンピアの迎賓館には常に「永遠の炎」がたかれていた。祭典の折には人々がいけにえをささげる祭壇でたく火をそこから採火していた。つまり聖火とは聖地でいつでも燃えている火だった(ペロテット著「古代オリンピック」)▲太陽の光からの採火も、聖火リレーも、みな1936年のベルリン五輪から始まった。ナチスを古代ギリシャの栄光と結びつけたいヒトラー好みの演出だったが、戦後になっても聖火リレーは五輪を代表するイベントとして生き残る▲昨年オリンピアで採火された聖火を7月23日の東京五輪開会式へと運ぶ聖火リレーが、あす福島県からスタートする。予定では全国859市区町村を約1万人の走者がリレーするが、すべては今後の各地のコロナ感染状況次第となる▲あすも人気タレントが参加しながら、無観客での出発式となる。沿道の観客の密集が続けば中断する場合もあるとされ、著名人走者は公園など観客を制限できる場所を走るそうな。感染防止に異議はないが、はて何のためのリレーか▲冷ややかな世論のなか“強行”ともみえる聖火の出発となるが、もちろん参加する走者や聖火の通過予定地では楽しみにしている方もおられよう。どうか密を避けての走者への声援、いや拍手をお願いする。

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