土門拳賞に大竹英洋氏の「ノースウッズ」 その選考過程とは

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第40回土門拳賞を受賞した写真家・大竹英洋さんの写真集「THE NORTTH WOODS ノースウッズ 生命を与える大地」(クレヴィス)
第40回土門拳賞を受賞した写真家・大竹英洋さんの写真集「THE NORTTH WOODS ノースウッズ 生命を与える大地」(クレヴィス)

 ドキュメンタリーに軸足を置いた表現に贈られる土門拳賞。第40回(2021年)は、大竹英洋さん(46)の写真集「ノースウッズ 生命を与える大地」(クレヴィス)に決まった。2月中旬に開かれた選考会では、写真と言葉の関係を巡って白熱した議論が交わされた。普段は非公開の選考過程とは--。

 <2月17日、東京・竹橋の毎日新聞東京本社で開かれた選考会。写真家の大石芳野さんと石川直樹さん、砂間裕之・毎日新聞社編集編成局長が会議室に集まり、作家の梯(かけはし)久美子さんは北海道からウェブ会議方式で参加した。同賞事務局の高橋勝視さん(毎日新聞出版)の司会の下、まず候補は、北米の大自然を捉えた大竹英洋さんの「ノースウッズ」、世界各地の紛争や災害の現場を取材した渋谷敦志さんの「今日という日を摘み取れ」、都市や町村の光景を切り取った山田脩二さんの「新版『日本村』」、石川真生さんの「大琉球写真絵巻」、公文健太郎さんの「光の地形」に絞られた>

 梯久美子さん 「ノースウッズ」、「今日という日を摘み取れ」が特に心に残った。「ノース」は撮り手の存在の出し方が絶妙で、謙虚さ・敬虔(けいけん)さまで伝わる。1冊の中に、自然な感じでドラマが構成されていた。「今日」にも独特の美しさがあり、悲惨な現実の中の人間の尊厳が表れている。私は物書きだが、2冊とも文章も素晴らしく、広い意味でのルポルタージュという点でも刺激を受けた。

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