変異株、累計649人 自治体担当者「感染力強いと認識」

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 緊急事態宣言の全面解除に伴い新型コロナウイルス感染症の再拡大が懸念される中、感染力が強いとされる変異株の感染拡大が続いている。厚生労働省は24日、23日までの変異株の累計感染者は549人で、空港検疫を含めて649人になったと発表した。1週間で164人増えた。神戸市など一部の自治体では変異株が占める割合が増えており、政府や自治体、専門家は警戒感を強めている。

 厚労省によると、24日に発表した変異株の累計感染者649人のうち、549人は26都道府県で、100人は空港検疫で確認。549人のうち、英国株が501人で約9割、南アフリカ株が13人、ブラジル株35人だった。また、自治体のスクリーニング(ふるい分け)検査で、累計792人が変異株の感染疑いがあるという。

自治体別の変異株感染者数
自治体別の変異株感染者数

 「現場の肌感覚として感染力が強いということを認識せざるを得ない」。24日、新たに18人の変異株疑いが確認された札幌市の担当者は危機感をあらわにした。6日に初めて報告されてから2週間あまりで変異株の疑いのある感染者は123人に増えた。同市内では食品関連会社の二つのイベントを介してクラスター(感染者集団)が発生。担当者は「従来株では濃厚接触者を検査してもかなりの割合で陰性になるが、変異株は陽性者の数が多いとの印象がある」と分析する。

 独自に約6割の新型コロナ感染者に対して変異株のスクリーニング検査をしている神戸市では、感染経路が不明な変異株の感染者が11日までの1週間で17・2%を占め、その前の2週間(2月19日~3月4日)の5・4%より急増した。スクリーニング検査の検体に占める変異株の割合も増え、直近(5~11日)では55・2%に達した。久元喜造市長は「市中に大きく広がっているとまでは言えないが、確実に割合が高くなっている」と警戒する。

 英国では、小児への感染性が高まることや、死亡リスクの増加などを示す解析結果も報告されている。国内では16日時点で、変異株の感染者のうち10歳未満の小児が占める割合は14・9%。保育関連施設で変異株疑いのクラスターが発生した新潟県によると、関係者計34人に確認され、うち園児は12人だった。園児から家族全員が感染した例も複数確認しているという。

 新潟大大学院の高橋昌特任教授(災害医療)は「検証が必要だが、変異株は従来株より感染力が強く、年齢に関係なく感染するように思われる」と指摘。厚労省に対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の脇田隆字座長は「子ども同士や子どもから大人への感染性が高まっているのなら、(小児が感染のけん引力である)インフルエンザに近い状況になるため、対策が変わってくる可能性もある」と語った。国立感染症研究所や国立国際医療研究センターが連携し、変異株の症例の分析や疫学情報の評価を推進する方針だ。【金秀蓮、林奈緒美】

あわせて読みたい

注目の特集