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第93回センバツ高校野球

第93回選抜高校野球大会の特集サイトです。3月19日から4月1日まで阪神甲子園球場での熱戦を全試合ライブ中継します。

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13試合目でやっと 初本塁打が最も遅かった理由 選抜高校野球

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【聖カタリナ学園-東海大菅生】二回裏東海大菅生無死、鈴木悠が今大会第1号となる左翼線本塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、藤井達也撮影 拡大
【聖カタリナ学園-東海大菅生】二回裏東海大菅生無死、鈴木悠が今大会第1号となる左翼線本塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、藤井達也撮影

 兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催中の第93回選抜高校野球大会は第5日の24日、13試合目にして大会初本塁打が飛び出した。金属バットが登場した第47回大会(1975年)以降では最も遅い大会第1号。第1試合の聖カタリナ学園(愛媛)―東海大菅生(東京)の1回戦で、東海大菅生の6番・鈴木悠平(2年)が左翼ポール際にソロ本塁打を放った。令和になって、センバツでは初本塁打となる。

 鈴木悠は「6番・右翼」で先発出場。公式戦初打席となる二回に先頭打者でスライダーを引っ張ると、打球は左翼ポールを回り込むようにスタンドに飛び込んだ。「これまでホームランが出ていなくて、ずっと選手と第1号のことを話していた。自分が打ててうれしい」と満面の笑みを浮かべた。

【聖カタリナ学園-東海大菅生】三回裏東海大菅生1死一塁、千田が左越え2点本塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、吉田航太撮影 拡大
【聖カタリナ学園-東海大菅生】三回裏東海大菅生1死一塁、千田が左越え2点本塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、吉田航太撮影

 また、東海大菅生は三回1死一塁から3番・千田光一郎(3年)がスライダーを左越えに2ラン。これがセンバツ通算800号のメモリアルアーチとなり、千田は「(鈴木悠が)何を打ったのか、情報を共有したことでホームランが打てた。まだ、実感がわかない」とセンバツ通算800号に驚いていた。

 開幕から大会初本塁打が出るまでの試合数は金属バット導入以降、これまでは第65回大会(93年)の「9試合目」が最も遅く、第91回大会(2019年)までの平均は「2・73試合目」。今大会、大幅に遅れた訳はあるのだろうか。

 本塁打増減の波は、過去にもあった。木製バット最後の年となった第46回大会(74年)までは、大会を通じて1桁本数が当たり前。大会第1号が出るのも遅く、同大会では20試合目に日大三の豊田誠佑(後に中日)がランニング本塁打を放ったのみだ。翌年は金属バット効果か、開幕試合で初アーチが飛び出し、広い甲子園球場に開催を移した第2回大会(25年)以降最多の11本塁打が飛び出した。

 金属バットが主流になると、今も大会記録として残る最多30本塁打が出た第56回大会(84年)など2桁本塁打が増えていく。第1号も第62回大会(90年)まで8大会連続で開幕試合で記録された。ちなみに第56回大会(84年)は清原和博(後に西武など)、桑田真澄(後に巨人など)らを擁したPL学園が1試合6本塁打を放つなど、チーム大会最多本塁打8本(清原3、桑田2)をマークしている。

第56回大会第6日第2試合、京都西戦でこの試合2本目のホームランを放つPL学園の清原和博=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1984年3月31日、出版写真部員撮影 拡大
第56回大会第6日第2試合、京都西戦でこの試合2本目のホームランを放つPL学園の清原和博=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1984年3月31日、出版写真部員撮影

 流れが変わったのが第64回大会(92年)の「ラッキーゾーン」の撤廃だ。球場が広くなり同大会での本塁打数は前回大会の18本から7本に激減。ラッキーゾーンは戦後間もなく、本塁打を出やすくするために両翼から左中間、右中間にかけて金網のフェンスを設置し、越えれば本塁打としていた。撤廃翌年の第65回大会も11本塁打と伸びず、初本塁打も「9試合目」まで遅れた。ただ一人、この流れにあらがったのが第64回大会の星稜・松井秀喜(後に巨人など)。開幕試合で2打席連続を含む計3本塁打を記録し、規格外のパワーを見せつけた。

 最後の波は、バットの重さが900グラム以上と規定された01年秋だ。導入直後は一時的に本塁打数が減った時期もあったが、重いバットを振れるように筋力トレーニングに励むチームが増えて体力、打力が向上している。

第64回大会1回戦の宮古戦で星稜・松井秀喜が2打席連続の本塁打を放つ=阪神甲子園球場で1992年3月27日 拡大
第64回大会1回戦の宮古戦で星稜・松井秀喜が2打席連続の本塁打を放つ=阪神甲子園球場で1992年3月27日

 そんな流れの中での本塁打数の減少。ちなみに、今大会出場32校の昨秋の秋季大会を振り返ると、合計本塁打数は113本。神宮大会の有無など試合数の違いはあるが、過去5年の平均145・2本に比べて減少している。

 大会第1号がなかなか出なかった理由として考えられるのが、新型コロナウイルス感染拡大による実戦不足だ。昨年は春のセンバツ、夏の全国選手権ともに中止となり、毎日新聞が出場32校に行ったアンケートでも多くの監督が「実戦不足」を指摘している。

 センバツ選考委員で日本高校野球連盟技術・振興委員会副委員長の前田正治さんは「バッターは試合を重ねる中で変化球への対応力が上がるが、コロナ下で試合数が非常に少なかった影響が出ていると思う。タイミングが合っているつもりでも少し差し込まれている。変化球の良い投手は抑えていくのではないか」と分析する。

 U18(18歳以下)高校日本代表監督も務め、今大会にも出場した明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督は、組み合わせ抽選が約3週間早まったことを理由に挙げる。「相手打者を研究できる時間が長くなった。『あのツボだけは投げるな』とか。そのデータは、投手にとっては大きい」と指摘する。

 野球の花とも言えるホームラン。「待望の一本」のみならず2本目まで飛び出し、ここから咲き乱れるか、それとも再び伸び悩むのか。ちなみに第76回大会(04年)以降、1大会通算本塁打は2桁台が続いている。【吉見裕都、田中将隆、安田光高】

全31試合を動画中継

 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。

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