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第103回全国高校野球選手権

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センバツ高校野球 柴田、夢舞台で熱戦 打線、粘りあと一歩 /宮城

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延長十回裏柴田無死、沼田が二塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、吉田航太撮影 拡大
延長十回裏柴田無死、沼田が二塁打を放つ=阪神甲子園球場で2021年3月24日、吉田航太撮影

 第93回選抜高校野球大会第5日の24日、柴田は延長十回までもつれる熱戦の末、京都国際(京都)に惜敗した。エース谷木(3年)が153球の熱投を見せ、打線も逆転された直後に追い付く粘り強さを発揮。創部35年目にしてたどりついた夢の舞台は初戦で幕を閉じたが、夏に再び戻ってくると誓ったナインに惜しみない拍手が送られた。【面川美栄】

 2点を追う十回、先頭打者の沼田(3年)が二塁打で出塁すると、代打の佐藤琳(2年)が左前適時打を放ち1点差に。さらに我妻(3年)が俊足を飛ばして盗塁を決め、2死二、三塁と攻め込む。応援に駆け付けた生徒らは心の中で「あと一点」コール。しかし、この日3安打の横山(同)が遊ゴロに倒れて無情のゲームセット。アルプス席から大きなため息がもれた。

 甲子園初出場同士の試合は、柴田が序盤に主導権を握った。相手の立ち上がりを攻めて、暴投と菅野(2年)の適時打で2点を先取。同校野球部の初代監督を務めた鈴木雅典さん(70)は「柴田を卒業した親のDNAを受け継いだ子供たちが頑張っている。感慨深い」と拍手を送った。

 先発・谷木は走者を出しながらも要所を締める投球でスコアボードにゼロを並べ続けた。しかし七回、無死満塁のピンチを招く。ベンチから伝令に走った市川(3年)がナインを鼓舞したが、1死後、走者一掃の三塁打を浴びて逆転された。

 声援を送る菅野の父博美さん(54)は「まだ終わったわけじゃない」。その裏の攻撃で、2死一、三塁から菅野が左前適時打を放ち、同点に追いついた。スタンドの保護者や生徒は、メガホンをたたいて大喜びした。

 両チーム譲らず、3―3のまま延長に突入。しかし、ここまで力投を続けてきた谷木が2点を失い、勝ち越しを許してしまう。後がない柴田は代打攻勢で勝負をかけ、一打サヨナラの場面を演出した。しかし、あと一本が出ず、聖地での初勝利はならなかった。

 横山の兄で、昨年主将を務めた航汰さん(18)は「本当にお疲れ様。良い時間を過ごさせてもらえた。また(甲子園に)帰ってこられるように頑張ってほしい」と涙ぐみながら後輩をねぎらった。

折り鶴に思い込め

タオルを掲げて応援する柴田の生徒たち=阪神甲子園球場で2021年3月24日、面川美栄撮影 拡大
タオルを掲げて応援する柴田の生徒たち=阪神甲子園球場で2021年3月24日、面川美栄撮影

 ○…一塁側のアルプススタンドでは、野球部のスローガン「夢実現」をあしらった折り鶴のタペストリーがナインの活躍を見守った。生徒会副会長の斎藤百花さん(3年)らがコロナ禍でも野球部を激励するため、各自で折れる折り鶴の作製を提案。全校生徒や卒業生ら約400人で3000羽の折り鶴(縦約1・5メートル、幅約3メートル)を作った。折り鶴は柴田カラーの青と赤を使い、「夢実現」の3文字を浮かび上がらせた。生徒会長の栗原花歩さん(同)は「折り鶴には、コロナで甲子園に来られなかった生徒の思いも詰まっている。少しは野球部の力になれたかな」とはにかんだ。【中田敦子】

中継で60人応援

七回裏に同点に追いつき、喜ぶ柴田高の生徒たち=宮城県柴田町で2021年3月24日、藤田花撮影 拡大
七回裏に同点に追いつき、喜ぶ柴田高の生徒たち=宮城県柴田町で2021年3月24日、藤田花撮影

 ○…柴田高(柴田町)では同校体育館に集まった生徒約60人が、大型スクリーンに映し出された中継映像を見ながら応援。新型コロナウイルス感染防止のためマスク着用ながら、初回に菅野結生一塁手(2年)が適時打を放つと「やった」。谷木亮太投手(3年)がアウトを取るたびにメガホンをたたいて喜んだ。2桁安打を放ちながらも惜敗したが、船山蒼空(そら)さん(同)は「接戦になっても焦らず気持ちを一つにして戦っていた。柴田の良いところがたくさん詰まった試合だった」。佐藤勝義教頭(56)は「一打サヨナラのところまで諦めず、よく粘った。選手たちには、甲子園で一勝という新しい夢の実現に向けて頑張ろうと声をかけたい」とねぎらった。【藤田花】


菅野結生一塁手=阪神甲子園球場で2021年3月24日、津村豊和撮影 拡大
菅野結生一塁手=阪神甲子園球場で2021年3月24日、津村豊和撮影

 ■ズーム

家族の支えで主砲躍動 柴田 菅野結生一塁手(2年)

 「ヒーローになってください」。試合当日の朝、父博美さん(54)にかけられた言葉の通り、夢の舞台で躍動した。

 逆転を許した直後の七回裏、2死一、三塁の好機。「ここで引いたら絶対負ける」と強い気持ちで打席へ向かった。相手の変化球にタイミングを外されて体の開きが早くなったというが、最後までしっかりボールを見てレフト前へと運び、試合を振り出しに戻した。

 試合前は、2015年に同校野球部の主将だった兄大樹さん(23)からも「お前なら大丈夫」と通信アプリでメッセージをもらった。「よしやってやるぞという気持ちになり、メッセージがなかったら、こうやって打つことができなかった」と感謝する。

 学校から車で20~30分の角田市に住み、練習の送り迎えをする大樹さん。「精神的にまだ成長できる」と話し、「先輩たちを引っ張るくらい頑張れ」と弟を励ましてきた。

 初回の打席でも、変化球をとらえてセンター前へ。この日放った2本の安打はいずれもタイムリーとなり、主砲の役目を果たした。だが結果には満足せず、「4番を任されているなら全打席出塁しなければ」。悔しさを糧に、さらなる成長を誓った。【面川美栄】


 ▽1回戦第2試合

京都国際 0000003002=5

柴田   2000001001=4

 (延長十回)

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