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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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もう20年近くも前だが…

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 もう20年近くも前だが、「雪国はつらいよ条例」が全国的な話題となった。実はこれ、新潟県中里村(現・十日町市)が豪雪対策として制定した「雪国はつらつ条例」の誤記だったのを覚えている方もいよう▲この誤記があったのは中学の「公民」の教科書で、県外からの問い合わせで間違いが分かった。この教科書には中里村を町とする間違いもあった。条例の名だろうと、検定を通った教科書だろうと、人のしでかす勘違いに聖域はない▲だから国会で成立すれば国民全体に影響が及ぶ政府提出法案であれ、何かの誤記が見つかることもあろう。だが今国会ではそれが24もの法案・条約の条文・関連資料に及んでいると聞けば、政府で一体何が起きているのか心配になる▲今国会の目玉法案のデジタル改革関連法案では関連資料に45カ所もの誤記があり、それを修正した正誤表にまでミスが見つかった。菅義偉(すが・よしひで)首相は野党の追及に「あってはならないこと」だと述べ、国会に迷惑をかけていると陳謝した▲かつてないミス続発の背景には、やはりコロナ対応による各省庁の業務増や慣れないテレワークでのチェック体制の緩みがあろう。かねて業務過多や人材不足が懸念されていた霞が関だが、コロナ禍がその限界を露呈させた形である▲人事を握る政権中枢の顔色をうかがう省庁の幹部たちと、一つのミスが新たなミスを招き寄せる長時間労働の現場と……。「霞が関はつらつ」とは誰も読み間違えてくれない「霞が関はつらいよ」である。

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