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聖火リレー始まる 安全最優先が希望つなぐ

 東京オリンピックの聖火リレーが始まった。新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中でのスタートだ。

 最大の課題は感染防止対策である。感染の状況次第では、中断やコースの変更に柔軟に応じる判断が求められる。

 聖火は47都道府県をめぐる。約1万人のランナーがリレーして東京・国立競技場へと運び、7月23日の開会式で点火される。

 東日本大震災からの「復興」が大会の意義に掲げられてきた。だが、新型コロナの影響で開催が1年延期され、大会を開くことが「コロナに打ち勝った証し」と強調されるにつれ、当初の理念はかすんでしまった。

 10年たっても自宅に戻れない人がいる。復興はまだ道半ばだ。被災者はどんな思いで東京五輪を見ているだろうか。

 福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」で出発式典が開かれ、大会組織委員会の橋本聖子会長は「東北の人々の不屈の精神に心から敬意を表します」と述べた。

 式典には一般客を入れず、来賓客を半数以下に減らす感染対策が取られた。リレーの全日程はインターネットで中継される予定だ。沿道に観衆が集まりすぎた場合はその区間のリレーを取りやめることもあるという。

 スケジュールの都合や密集ができることへの心配を理由に聖火ランナーを辞退する著名人が相次いでいる。島根県では丸山達也知事が感染対策の不備を指摘し、5月中旬に県内を通過するリレーの中止検討を表明した。

 こうした人々の不安や懸念もしっかりと受け止める必要がある。

 五輪憲章には「組織委員会は聖火をオリンピックスタジアムに運び入れる責任がある」と記されている。リレーは1936年ベルリン五輪から始まった。ナチスの政治宣伝の側面もあったとされるが、戦後は平和の理念を反映する行事として、継承されてきた。

 57年前の東京五輪では聖火が初めてアジア諸国をめぐり、まだ米国の統治下にあった沖縄を経て日本本土に引き継がれた。

 コロナ下で、五輪開催に対する国民の不安はなお大きい。希望の灯をつないでいくには、安全最優先の心構えが欠かせない。

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