食品だけでなく飼料にも 昆虫は食糧危機時代の救世主になるか

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ミズアブの成虫=大阪府立環境農林水産総合研究所提供
ミズアブの成虫=大阪府立環境農林水産総合研究所提供

 食料問題を解決する救世主として近年、世界的に注目を集める昆虫。栄養価に優れ、たんぱく質が豊富な食品として商品化が相次ぐ一方、養殖魚や家畜の飼料として活用する研究も進む。メリットと課題を探った。

養殖魚や家畜の餌に

 昆虫が注目されるきっかけになったのが、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が公表した報告書だ。地球温暖化に起因する干ばつや洪水の多発、人口増加により懸念される食糧危機への対策の一つとして、たんぱく質が豊富で少ない餌でも育つ昆虫を、食品や家畜の飼料に活用することを推奨。国内でもコオロギの粉末を練り込んだパンや菓子などの商品化が進んでいる。

 大阪府立環境農林水産総合研究所(環農水研、羽曳野市)は13年から、アメリカミズアブ(ミズアブ)の幼虫を水産・畜産用の飼料にする研究に取り組む。

 ハエの仲間のミズアブは北米原産。日本には戦後間もなく侵入したとされ、現在は北海道以外に広く分布する。成虫の体長は約2センチ。幅広い食性が特徴で、環農水研ではタマネギの皮やキャベツの芯といった野菜くず、豆腐かすなどを餌に飼育している。1キロ分の餌で約1000匹が育つという。

 幼虫はふ化してから15~20日で体長1・5センチほどに成長する。これを乾燥させ粉末状に加工し、ビタミンや炭水化物などを配合して飼料にしている。

 養殖魚の飼育試験では、…

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