羽生結弦の描く「天と地と」/上 歴史作家が見た上杉謙信との共通点

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全日本選手権の男子フリーで「天と地と」をテーマとした演技を終え、あいさつする羽生結弦=長野市ビッグハットで2020年12月26日(代表撮影)
全日本選手権の男子フリーで「天と地と」をテーマとした演技を終え、あいさつする羽生結弦=長野市ビッグハットで2020年12月26日(代表撮影)

 フィギュアスケートの世界選手権で4年ぶり3回目の優勝を狙う羽生結弦(ANA)は、戦国武将・上杉謙信を描いた大河ドラマ「天と地と」のテーマ曲で27日のフリーに臨む。「戦いへの考え方、美学というか、悟りの境地のようなところまでいった上杉謙信公の価値観とちょっと似ているのかな」と評する羽生と「越後の竜」の共通点とは――。「加来耕三の戦国武将ここ一番の決断」(つちや書店)などの著書がある歴史作家の加来耕三氏(62)に語ってもらった。【聞き手・倉沢仁志】

 ――上杉謙信とはどんな人物だったのでしょうか。

 ◆謙信は特に戦時中に人気がありました。負け知らずという部分が買われていたのです。一貫して言われているのは、「義の武将」であるということ。助けを求められると、必ず助けにいく。そして謀反を起こされたら、相手を討ちにいくが、謙信は相手が降参したら手を出さないんですね。

 ――そもそもなぜ、上杉謙信はそこまで強かったのでしょう。

 ◆上杉軍は駒のようには動かず、好き勝手に動いていたとされるのですが、軍が動く際には一種のリズムができる。そのリズムにうまく乗って勝たせることができた武将こそ、上杉謙信なんです。これは、もう天賦の才でしょうね。他の武将が考えつかないことも考えるわけです。

 謙信が他の武将と違う点は、彼は幼くして仏門に入っているので武将らしい教育を受けていないということです。仏に仕え、座禅ざんまいの生活をしていた。毘沙門天、つまり仏との対話をひたすらしていたわけです。いかに人間らしく、立派に生きていけるかを問いかければ良かった。一方で他の武将はそうはいきません。「義」で国中の人を食わせるといっても、理想論。それができないわけです。

 ――天下統一を果たしてもおかしくなかったという説も聞きます。

 ◆そうかもしれません。しかし、彼はそういう意図がなかったと思います。私利私欲ではなく、義を尽くして、太平の時代を作りたいという理由で合戦しているわけです。だから、羽生選手が「似ている」という部分は、良いところを突いているなと。イメージは間違っていないと思いますね。

イメージを徹底して膨らませる

 ――2人の共通点はどこにあると見ていますか。

 ◆共通点を挙げるとするならば、…

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