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第94回センバツ高校野球

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第93回選抜高校野球 2回戦 城北大接戦 やまぬ拍手、夏再来誓う /鳥取

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【撮影者の名前を残してください】惜敗しアルプス席へのあいさつを終えて引き揚げる鳥取城北の選手たち=阪神甲子園球場で2021年3月26日、平川義之撮影 拡大
【撮影者の名前を残してください】惜敗しアルプス席へのあいさつを終えて引き揚げる鳥取城北の選手たち=阪神甲子園球場で2021年3月26日、平川義之撮影

 <センバツ2021>

 第93回選抜高校野球大会第7日の26日、鳥取城北は2回戦で東海大相模(神奈川)と対戦。先発右腕・山内龍亜(りゅうあ)投手(3年)の変化球がさえわたって緊迫した投手戦に持ち込んだが、自慢の強力打線にあと一本が出ず0―1で惜敗した。春夏通じて学校初の「甲子園2勝」と、40年ぶりの県勢8強入りこそ逃したが、優勝候補の一角に挙げられる強豪に一歩も引かない戦いぶりに、球場全体からはいつまでも大きな拍手が送られた。【野原寛史、林田奈々】

 「九番、ピッチャー山内君」

試合後半の好機にメガホンをたたいて盛り上げるアルプス席の野球部員や応援団ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2021年3月26日午前9時59分、野原寛史撮影 拡大
試合後半の好機にメガホンをたたいて盛り上げるアルプス席の野球部員や応援団ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2021年3月26日午前9時59分、野原寛史撮影

 試合開始前の先発メンバー発表でアナウンスされた名前は、昨秋の県大会でわずか2イニングを投げただけの右腕・山内投手だった。沖縄県から一塁側アルプス席に駆けつけた父昌也さん(46)は「相手は強力打線。粘り強く投げて」と祈るようにマウンド上を見つめた。

 誰もがエースの広田周佑(しゅうすけ)投手(3年)の先発を予想していただけに、「奇策」とも言える山木博之監督の決断だった。だが、この起用が見事にはまった。山内投手は二回に失策がらみで1点を失ったが、その後は鋭いフォークを決め球にアウトを積み重ね、野手も好守で支えた。昨夏のベンチ入りメンバーだったOBの竹森翔英さん(18)は「山内も野手も去年とは見違えるように良くなっている。この調子で頑張ってほしい」と笑顔を見せた。

 山内投手の力投に応えたい打線は、五回から登板した相手のエース左腕・石田隼都(はやと)投手(3年)に徐々にタイミングを合わせていく。七回、八回にはともに2安打を放つなど、終盤はむしろ押し気味に試合を進めた。

 九回表には疲れの見えた山内投手に代わり、無死1塁の場面で広田投手が登板。1死二、三塁と攻められたが、「ここで抑えるという気持ちで投げた」とスピンの効いた高めの直球で後続を連続三振。逆転を信じるアルプス席の熱気は最高潮に達した。

 九回裏、先頭の岸野桂大(けいた)捕手(3年)が右中間に二塁打。送りバントで1死三塁とし、絶好の同点機を得た。しかし、続く打者2人が三振に倒れてゲームセット。試合終了の瞬間は言葉を失った応援団だが、ナインがスタンドに駆け寄ってくると、精いっぱいの拍手を送っていた。

躍動感のある演技を見せた応援・チア部の部員たち=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2021年3月26日午前9時7分、林田奈々撮影 拡大
躍動感のある演技を見せた応援・チア部の部員たち=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2021年3月26日午前9時7分、林田奈々撮影

 野球部保護者会長の中野雅斗さん(46)は「いい試合だったが、日本一を目指すには東海大相模を倒せるようにならなければいけない。チームは大きく成長したので、夏に甲子園に戻ってくるためさらに励んでほしい」と話した。

念願舞台で躍動

 ○…一塁側の鳥取城北アルプス席では、18人の「応援・チア部」の部員たちが躍動感のある演技でエールを送った。部にとって甲子園での応援は「一番の目標で一番の舞台」。しかし昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でセンバツが中止になり、夏の交流試合も無観客開催だった。ようやく来ることができた夢舞台に、新年度3年生の部長、長谷坂百香さんは「どこから見ても応援していることが伝わるように」と最後まで大きくポンポンを振り続けた。


 ■熱球

平常心で攻守貢献 岸野桂大捕手(3年)

鳥取城北の岸野桂大選手=鳥取市で2021年2月6日、藤井達也撮影 拡大
鳥取城北の岸野桂大選手=鳥取市で2021年2月6日、藤井達也撮影

 攻守の要として、精神的な柱の一人。この日は現役時代に捕手だった父泰幸さん(47)に「リラックスして冷静に」とアドバイスされ、優勝候補相手にも平常心で臨んだ。

 相手打線を分析して「低めに変化球を集めてどんどん打たせていこう」と決め、先発の山内投手にはカーブやフォークを多めに要求。九回のピンチに広田投手が登板すると、一転して直球主体の組み立てに切り替えるなど、巧みなリードで打者を翻弄(ほんろう)した。三回には盗塁を阻止するなど自慢の強肩も披露。昨秋までは捕球面が課題とされたが、この日はワンバウンドの球をしっかり体で止めて成長ぶりを見せつけた。

 打ってはチームただ一人の2安打。先頭打者の九回裏には「何とか逆転したい」と直球に食らいつき、右中間二塁打で同点機をお膳立てした。ただ、あと一本が出なかった敗戦に「(自己採点はチームも自分も)60点。反省点は多く、(二回の失点も)自分が違うプレーをできれば抑えられていた」と厳しい。

 攻守両面で手応えと新たな課題を得た今大会。中学時代に所属した少年野球チーム・大淀ボーイズ(大阪)で全国制覇を成し遂げた逸材は、悔しさをこらえて「夏にリベンジしたい」と一層の飛躍を誓った。【野原寛史】


東海大相模

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鳥取城北

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