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通常国会後半へ 不信と不安募る法案ミス

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 新年度予算が成立し、通常国会は後半に入る。

 菅義偉首相の看板政策であるデジタル庁の設置を柱とするデジタル改革関連法案をはじめ、個別の政策が与野党で審議される。

 ところが、議論する前から前代未聞の事態が起きている。

 政府が提出した法案、条約の条文や関連資料に誤りが続出していることだ。

 新型コロナウイルスへの政府の対応は、依然として後手に回っている。そんな中での失態は、国民の不安や不信をさらに増幅させる可能性がある。

 政府の説明によれば、誤りは13府省庁が担当する計23法案1条約に及ぶ。

 例えば、デジタル改革関連法案では、関連資料に誤字や数字の間違いなど45カ所ものミスが発覚し、誤記を修正するために提出した正誤表にも誤りがあった。

 このため「正誤表の正誤表」を新たに提出する異例の対応に追われた。

 ほかにも産業競争力強化法改正案や防衛省設置法等改正案、銀行法改正案などで誤りがあった。

 なぜ、こんな単純なミスが続出したのか。

 各府省庁がコロナ対策に追われているため人員が足りないのか。自宅で仕事をするテレワークが増えたからか。

 あるいは菅首相が実績を作るために提出を急がせたためなのか。そもそも官僚の士気が低下しているのか。どの理由であれ深刻だ。

 政府はミスの原因を早急に究明する必要がある。

 総務省幹部らが関係業者から高額接待を受けた問題も決着していない。接待により行政がゆがめられることはなかったのか。解明に向けた政府の姿勢は後ろ向きだ。

 日本学術会議の会員候補のうち6人を任命しなかった問題も忘れてはならない。

 政府と自民党は、組織のあり方を改革する点ばかりに力を注いでいるが、なぜ菅首相は6人の任命を拒んだのか、疑問の核心に依然として答えていない。

 コロナ対策で不可欠なのは政府に対する国民の信頼だ。菅首相は態勢を立て直すと同時に、あらゆる問題に対して誠実に説明することだ。信頼回復はそこからだ。

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