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本村凌二・評 『性の歴史Ⅳ 肉の告白』=ミシェル・フーコー著、フレデリック・グロ編、慎改康之・訳

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『性の歴史Ⅳ 肉の告白』
『性の歴史Ⅳ 肉の告白』

 (新潮社・4730円)

「欲望の主体」である自己を見つめる

 ホラホラ、これが僕の骨だ、

 生きてゐた時の苦労にみちた

 あのけがらはしい肉を破つて、

 中原中也の「骨」という詩の冒頭の一句である。この「肉」とはフーコー最後の大作「性の歴史」の第Ⅳ巻『肉の告白』の示唆するところだろう。なぜ、いつから、どのようにして人間は「肉」事を汚らわしいと思うようになったのだろうか。問題は単純なことだが、人間の根幹をなすから困惑することになる。

 そもそも、第Ⅰ巻『知への意志』をめぐっては、西洋の外では「性愛の術」が求められたのに、西洋では「性の科学」が問われつづけたという俗っぽい理解の仕方があった。だが、「性」を抑圧・禁止ととらえるよりも、そこには「性」を言説化しようとする社会全体の要請が潜んでいたことが指摘されたのである。しかしながら、この原著が一九七六年に出版されながら、フーコーの企画は大きく変更され、その後の二巻が出たのは八年後だ…

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