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第94回センバツ高校野球

第94回選抜高校野球大会の特集サイトです。阪神甲子園球場での熱戦全31試合をLIVE配信します。

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第93回選抜高校野球 兄の背中追いかけ エースの代役、堂々 市和歌山・米田天翼投手

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先発した市和歌山の米田天翼投手=阪神甲子園球場で2021年3月26日、平川義之撮影 拡大
先発した市和歌山の米田天翼投手=阪神甲子園球場で2021年3月26日、平川義之撮影

 <2021 第93回センバツ高校野球>

 甲子園初登板で4回1失点と堂々のデビューを果たした。第93回選抜高校野球大会第7日(26日)、2回戦の明豊(大分)戦に先発登板した市和歌山の米田天翼(つばさ)投手(2年)。23日の1回戦で県岐阜商を完封し、130球を投げたエース小園健太投手(3年)を温存する役割も担った。2年生ながら大役を務め、「緊張するかと思ったがいつもの力を出せた」と胸を張った。

 市和歌山には兄航輝(こうき)さん(19)の背中を追って進学した。航輝さんは2019年のセンバツでは主将としてチームを8強に導いた。夏の選手権大会予選で兄の最後の試合に駆けつけて応援。「(兄が)『いちこう(市和歌山)』のユニホームを着てプレーするのが格好良かった。俺もいちこうで野球がしたい」と、もともと岡山の私立強豪校へ進学予定だったが、中学3年の8月に決意した。

 昨秋の新人戦3回戦で公式戦デビューすると、準決勝では航輝さんが3年間で一度も勝てなかった相手・智弁和歌山戦に登板。6回2失点と好投し兄の雪辱を果たした。昨秋の近畿大会準決勝・智弁学園(奈良)戦でも登板。しかし1回と3分の2を投げて4失点。その日の夜、航輝さんから「冬は自分に厳しく練習しないと甲子園に出ても投げさせてもらえないぞ」と厳しいアドバイスをもらった。

 冬場に投球フォームを改造。21年1月末ごろには「ボールの回転数が増え、球威も増している」と手応えを感じていた。

 試合前々日の24日夜に登板を告げられた。「(1回戦勝利後)次は自分が投げると思っていたので心の準備はできていた」と話す。航輝さんからは「楽しまないと後悔するぞ」と連絡をもらったという。試合では毎回走者を出しながらも三回まで失点なく抑えた。しかし四回、5球目の甘く入った直球を右中間スタンドに運ばれ、「全国では1球の甘さも許してくれない」と実感した。試合は好投する相手投手を打ち崩せず敗れたが「甲子園は楽しかった。直球で三振が取れるようになって、もちろん夏に戻って来たい」と力強く語った。【橋本陵汰、中島昭浩】

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