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消費税込みの価格表示 分かりやすさが最優先だ

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 スーパーやコンビニなどの商品価格を消費税込みで示す「総額表示」が4月から義務化される。

 商品の本体価格が1000円なら、これまでは「1000円+税」の値札で良かったが、今後は10%税込みの「1100円」と示さなければならない。

 消費者保護の観点からは、税込みの表示が望ましい。

 税抜きでは、全部でいくら払えばいいのか、レジで請求されるまで分かりにくい。食料品などは8%の軽減税率が適用されているが、対象品目が紛らわしい。

 税込みなら一目で分かるうえ、ほかの店と価格を比べて商品を選びやすくなる。消費者庁が今月行った調査では、消費者の9割超が税込みが分かりやすいと答えた。

 小売店は税込みの表示に消極的だ。税抜きで割安感をアピールしてきたからだ。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ消費をさらに冷やしかねない、と心配する。

 だが改めるべきは、消費者が払う金額は変わらないのに安く見えるように装ってきた手法である。

 税込みの表示は2004年にいったん義務化された。だが2度の消費増税を控え、13年以降は、値札張り替えなど小売店の負担を軽くするという理由で、政府は税抜きを認めてきた。業界の都合を優先して、消費者に不便を強いる仕組みを続けてはいけない。

 消費税が早くに定着した欧州は税込みだけの表示が主流となっている。日本も税込みだけで販売が好調な店は少なくない。分かりやすさが支持されているのだろう。

 税込みへの変更が値上げと誤解されることなどがないよう、小売店は丁寧に説明する必要がある。

 客離れを防ぐため値下げする店が増えるかもしれない。値下げの負担を立場の弱い納入業者に押し付けることがあってはならない。政府はしっかり監視すべきだ。

 問題になりそうなのは、税込み価格と税抜き価格の併記が4月以降も認められたことだ。

 既に多くの店が採用しているが、税抜きがメインになり、税込みが小さすぎるケースも目立つ。高齢者などが安いと勘違いしかねず、制度の趣旨にそぐわない。

 政府は、消費者が混乱したり、不利益を被ったりしない表示にするよう求めていくべきだ。

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