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新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中、変異株が広がりを見せている。
変異株の累計感染者数は空港検疫を含め600人を超えた。1週間で160人以上増えている。
感染者は26都道府県に及び、9割は英国株だ。感染力が強いとされ、子どもにも感染しやすいとの指摘がある。
既に市中感染に至っている可能性もある。専門家は変異株が第4波を招くと警鐘を鳴らす。従来とは異なる対策が求められる。
しかし、検査体制が不十分なため、実態把握に不可欠なデータが得られていないのが実情だ。
変異株は、陽性の検体を再度PCR検査して調べる。さらに国立感染症研究所などでゲノム(全遺伝情報)解析し、確定させる。
こうした煩雑な手続きがネックとなり、自治体によっては一部しか再検査に回していない。確定までに数日かかるため、初動が遅れる恐れもある。
東京都は新規感染者数が全国最多なのに、変異株の検査率は5~10%にとどまり、確定数も少ない。大量のPCR検査を民間検査機関に頼ってきたが、新たな事態への対応が遅れている。協力を得て拡充を急ぐべきだ。
神戸市は、積極的な検査で注目を集めている。国からの指示を待たず、機器や人員配置を独自に拡充した。検査率は6割を超え、ゲノム解析も自前で行う。
政府は緊急事態宣言解除に当たって検査率を4割に上げ、対策を強化することを目標に掲げた。
だが、号令をかけるだけでは、自治体の取り組みは進まない。
感染者が急増している宮城県などで、変異株に力点を置いた実態把握を国主導で進めてはどうか。ノウハウを確立し、他の都道府県と共有してほしい。
1回の検査で感染の有無と変異株を同時に調べる手法を導入し、対策に追われる自治体の負担を減らすことも重要だ。
ウイルスは2週間おきに変異を起こす。今後、海外からの渡航者が増えればリスクは増す。より強力な変異株が国内で出現する可能性も十分にある。
新たな局面のたびに対応が後手に回るという、これまでの失敗を繰り返してはならない。