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第103回全国高校野球選手権

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第93回選抜高校野球 京都国際・平野選手 エース争いは終わらない 「背番号1」 死球で救援できず

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二回に死球を受ける、京都国際の平野順大選手=阪神甲子園球場で2021年3月27日、津村豊和撮影 拡大
二回に死球を受ける、京都国際の平野順大選手=阪神甲子園球場で2021年3月27日、津村豊和撮影

 <2021 第93回センバツ高校野球>

 第93回選抜高校野球大会第8日(27日)、初出場ながら1回戦を突破した京都国際は東海大菅生(東京)と対戦。九回裏、2死満塁と攻め込まれた逆転サヨナラのピンチで右翼線に大きな打球が飛んだ。守る京都国際の右翼手・平野順大(じゅんた)選手(2年)は「絶対取ってやる」とボールを追い、懸命にグラブをはめた手を伸ばした。

 この日は6番ライトで先発したが背番号はエースナンバー「1」で、右腕投手でもある。1回戦に続き先発した背番号9の左腕・森下瑠大(りゅうだい)投手(同)と、左右のダブルエースとしてセンバツ出場に貢献してきた。普段は仲が良い2人だが、野球ではエースの座を懸け争うライバルだ。

 昨秋の京都府大会1次戦では森下投手がエースだったが、近畿大会出場をかけた2次戦で背番号1を付けたのは平野選手。近畿大会への出場が決まると、再び森下投手が背番号1を付けるようになった。「片方のけがが治ると、もう片方がけがをする。昨秋はけがをしていない方に背番号を託した形になった」と小牧憲継監督は話す。

 センバツ出場が決まった1月29日。取材でエース争いの話になると普段の穏やかな表情を一変させる。「秋は森下に背番号1を譲り、とても悔しい思いをした。次の春は絶対に自分がエースナンバーを背負って甲子園のマウンドに立ちます」。気迫のこもった声で決意を語った。

 センバツで付ける背番号が決まったのは3月上旬。冬のけがから回復したばかりの森下投手は「9」となり、「1」は再び平野選手が手にした。秋の悔しさを忘れずに投げ込んできた結果でもあるが、そこで満足したわけではなかった。「この『1』は仮の番号だ。この背番号がふさわしい投手に、ここから育っていかなければ」。気を緩めることなく、初の甲子園の舞台へと準備を進めてきた。

 センバツ1回戦の柴田(宮城)戦は2人の継投で勝利を得た。そして迎えた2回戦、序盤に試練となるアクシデントが起きた。二回、平野選手は初打席で死球を受け、後半に救援登板する予定だったが痛みで断念。最後まで右翼から仲間を信じて投球を見守ることに。

 森下投手は尻上がりに調子を上げたが九回裏、4―3と1点差に詰め寄られて2死満塁での大飛球。平野選手は「捕れなくても1失点ならまだ同点。二塁走者は刺してアウトに仕留める」と右翼線に駆け寄ったが及ばず、球は後方へと抜けた。走者2人が生還して逆転サヨナラ負け。「一か八かをかけて飛び込めなかった」悔しさに加え、救援登板できず「頑張っていた森下に試合を任せきりにしてしまった」という申し訳なさでいっぱいになった。

 森下投手も同じ気持ちでいた。「初戦は平野が後ろに控えていてくれるから、自分は思いきって投げられた。平野が次の試合で投げる機会を作ってやれず、申し訳ない」。沈んだ声を漏らした。

 2人の高校野球はまだ終わらない。「(背番号1でも)自分はエースではなく、森下の方が上。競い合って、レベルを上げていきたい」。絶対にもう一度甲子園に帰ってくる。固い決意と共に、ライバルと切磋琢磨(せっさたくま)する日々がこれからも続く。【中島怜子】

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