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「ワクチンとの付き合い方」を医療人類学者・磯野真穂さんに聞く

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磯野真穂 医療人類学者
磯野真穂 医療人類学者

 新型コロナウイルスのワクチンは、医療関係者への先行接種に続き、いよいよ4月から高齢者への接種が始まる。今やワクチンの存在はコロナ禍における最大の「希望」に見える。しかし、医療人類学者の磯野真穂さんは「コロナ禍があぶりだした社会のさまざまな問題はワクチン接種だけでは解決しない」と語るのだ。私たちは疫病と、そしてワクチンと、どんなふうに向き合っていけばよいのだろう。【小国綾子/オピニオングループ】

「社会的責任」としての接種

 ――医療従事者へのワクチン接種が始まりました。コロナ収束に向けて「希望」が見えてきたと感じます。

 ◆データを見ると、新型コロナウイルスのワクチンは感染率や重症化率、死亡率を下げる点でかなり効果があるようです。複合的な意味で、人々の安心につながっていくと思います。

 ただ、ワクチンを打ったところで、人に感染させる恐れや自分がかかる恐れがゼロになるわけではありません。また、打たなくとも感染しない人も大勢います。それらの事実を踏まえると、ワクチン接種は、その生物学的効果を超えて、「社会的責任を果たした人物」という意味を強く帯びていくはずです。

 そういった象徴的な効果が、ある種の護符のように人々の間に安心を生み出してゆくのでしょう。

 ――ワクチン接種が「社会的責任」という意味を帯びてくる、というのには、はっとさせられます。

 ◆ワクチンの接種機会を拒んでコロナにかかった人に対し、マスクをしていない人に向けられるような冷ややかな視線が注がれる可能性は、存在すると思うのです。その意味で、ワクチン接種はマスク着用と同様に新しい「マナー」となるのではないでしょうか。

 ここまで人々の目がコロナに注がれている現実を踏まえると、接種を受けたことを証明するワクチンパスポートのようなものの導入も絵空事ではないかもしれませんね。

「ワクチン警察」は現れるか

 ――マスクをしない人を批判する「マスク警察」が現れたように、ワクチン接種を控える人に対して、「ワクチン警察」が現れたりするんでしょうか? 私は順番が来たらワクチンを打つつもりですが、接種が社会の「踏み絵」になるようなことは嫌です。

 ◆私も、そんなことは起こらないでほしいと思っています。ただ「自分だけでなく他人の命を守るためにもワクチンの接種を受けるべきだ」という価値観は広がっていくと思います。接種を受けない人が後ろめたい気分を抱えることもあるでしょう。十分に間隔が空いていても、マスクをせずに道を歩いているだけで批判されることもある社会なのですから。

 ワクチンというのは、…

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