介護報酬改定「最後のとりで」訪問サービス後回し 人手不足深刻

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ホワイトボードにびっしりと埋まった訪問介護のスケジュールを確認する埼玉県新座市のNPO法人「暮らしネット・えん」のスタッフ=「えん」提供
ホワイトボードにびっしりと埋まった訪問介護のスケジュールを確認する埼玉県新座市のNPO法人「暮らしネット・えん」のスタッフ=「えん」提供

 公的な介護サービスの対価として事業者が受け取る介護報酬が4月1日から改定される。介護保険の料金体系に相当するもので、全体で0・7%引き上げられる。リハビリなどを通じて高齢者の自立を促すためのサービスや、要介護状態に陥らないようにする「介護予防」の分野に比較的手厚くされたが、高齢者の日常生活を支える視点が乏しいとの指摘もある。

「感染者や濃厚接触者宅に入る事業所は足りていない」

 関東地方にある介護事業所に今年1月、新型コロナウイルスに感染した人の濃厚接触者となった要介護状態の高齢女性宅に訪問介護サービスを提供するよう依頼が入った。

 同居する70代の夫が感染。夫婦の入院調整に時間がかかり、自宅での介護が数日間必要になった。しかし、これまで担当していた介護事業所が「濃厚接触者は介護できない」と撤退してしまったという。

 依頼を受けた事業所の介護福祉士の男性はマスクや防護具を着用して女性宅に入った。万が一、感染を広げることがないようにと予定していた会議などはすべてキャンセル。日中も事業所には戻らず、待機場所もないため、なるべく車や野外で過ごすようにした。他の利用者宅を訪問できないなど仕事に支障をきたした。男性は「感染者や濃厚接触者宅に入る事業所は全く足りていない。受け入れると負担が増える一方、事業所に入る介護報酬は変わらない」と訴える。

 介護報酬はサービスごとに料金の単価(1点=10円)が決まっており、3年に1度、見直される。報酬を引き上げると、利用者の負担が増え、介護事業者の収入増につながる面がある。4月以降の改定率は全体をならすと0・7%の微増(0・05%はコロナ対応分)だが、訪問介護のサービス単価は、通所や入所の各単価に比べても上げ幅が小さく、…

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