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古賀攻専門編集委員の政治を中心としたコラム。

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町で聖火は楽じゃない=古賀攻

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 3県目に入った聖火リレーは商業五輪を地で行っている。スポンサー企業の派手なコンボイ車列が大音量を響かせて通り過ぎた後に、ふとリレー走者が現れる。

 主客が入れ替わったようなその映像を見て、米ロック歌手ブルース・スプリングスティーンの初期の代表曲「町で聖者は楽じゃない(It′s hard to be a saint in the city)」が頭に浮かんだ。

 猥雑(わいざつ)さにあふれた都会を駆け抜ける歌のモチーフと、聖火リレーの姿が重なる。舞台は理念の花園ではなく、生臭い現実世界。聖者も聖火も楽じゃない。

 袖振り合うも多生の縁という。たまたまの隣り合わせでも不思議な絆があるとの教えだが、沿道の見物人同士で肩が触れ合う「密集」はNG。その区間のリレー中止が検討される。盛り上げたいけど、喜ばれ過ぎても困るという相反性を律するおきてだ。

 リレーには、後ろを振り返ってはいけないというおきてもある。五輪招致時の「汚染水はアンダーコントロール」という誇大宣伝や、五輪の看板を「復興」から「対ウイルス戦」に都合よく掛け替えたのを思い出したら、後ろ…

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