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テラハは「倫理上問題」 悲劇くり返さない対策を

 こんな痛ましい出来事を繰り返してはならない。

 フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが亡くなったことについて、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は「放送倫理上の問題があった」と判断した。

 番組が放送に先行してネット配信された後、番組内での木村さんの言動を巡ってSNS(ネット交流サービス)上で誹謗(ひぼう)中傷する投稿が相次いだ。亡くなった後、自殺をうかがわせる遺書が見つかっていた。

 自傷行為に及んでいたにもかかわらず、地上波で同じ番組の放送が決まった経緯が問題視された。

 人権委は出演者が人格攻撃を受けやすいリアリティー番組の特性を挙げ、フジテレビには「精神的な健康状態に対する配慮が欠けていた」と指摘した。

 最も重い「人権侵害」は認定しなかった。木村さんの自傷行為後、フジテレビ側がLINEでのやりとりや自宅訪問などの対応を取っていたことを考慮したからだ。

 人権委に先立ち、フジテレビは社内検証の結果として、演出面での強要やSNS上の炎上の意図はなかったと結論付ける報告書を公表している。

 若い命が奪われたことに改めて向き合う必要がある。厳しい少数意見が付いたことも含め、委員会決定を重く受け止めるべきだ。再発防止策を徹底するのは当然だ。

 リアリティー番組に限らず、放送を見ながらSNS上で視聴者が感想や意見を交わすのは、ネット時代ならではの楽しみ方だろう。一方で、ネットの匿名性ゆえ、容易に個人攻撃を招きやすいことも忘れてはならない。

 木村さんに対する誹謗中傷の投稿をした人たちの責任は重い。自分の投稿が他人を傷つけることはないか、手を止めて考える必要もあるだろう。

 委員会決定は通常、対象となった放送局への要望などが記されるが、今回は「悲劇が二度と起こらないよう、自主的な取り組みを進めるよう期待する」と放送界全体に注文をつけた。

 番組を制作する側は、出演者の安全や安心が最優先であることを忘れてはならない。

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