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見つめ続ける・大震災10年

2021年春で発生10年を迎える東日本大震災。出会った人々を見つめ続ける写真記者が月日の流れと思いを伝えます。

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見つめ続ける・大震災10年

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 東日本大震災から1カ月後。花束を手に仮面ライダーの長靴を履き、真剣な表情で掘り起こされた土を踏みしめ歩く5歳の斎藤佑星(ゆうせい)君に出会った。宮城県石巻市の公園「上釜ふれあい広場」は当時、火葬できない犠牲者の仮埋葬地になっていた。津波で亡くなった祖父荻原操さん(当時68歳)、祖母都子さん(同60歳)、叔父大樹さん(同32歳)を弔うため、家族と共に避難先から訪れていた。「僕も花を持ちたいって言ったんです」。父知文さん(51)は息子の姿を振り返る。

 震災発生時、地震の揺れが収まると母るみ子さん(46)は、乳飲み子だった妹あかりちゃんを抱え、幼稚園にいた佑星君を車で迎えに行った。避難の途中で津波を見て、急いで近くの小学校に逃げ込み難を逃れた。知文さんは仕事から離れられず、父子が再会できたのは3日後。佑星君は幼稚園の制服姿のまま教室で元気にしていた。

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