富士フイルムHDの古森会長退任 「やるべきことは成し遂げた」

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記者会見後の記念撮影に臨む(右から)富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO、次期社長兼CEOとなる後藤禎一取締役、次期会長の助野健児社長=東京都内のホテルで2021年3月31日午後3時56分、手塚耕一郎撮影 拡大
記者会見後の記念撮影に臨む(右から)富士フイルムホールディングスの古森重隆会長兼CEO、次期社長兼CEOとなる後藤禎一取締役、次期会長の助野健児社長=東京都内のホテルで2021年3月31日午後3時56分、手塚耕一郎撮影

 富士フイルムホールディングス(HD)は31日、古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO、81)が6月の株主総会後に退任し、最高顧問に就くと発表した。20年あまり経営の先頭に立ち、斜陽化する祖業の写真フィルムから医療や事務機器を中心にした事業構造に転換し、会社を復活させた。東京都内で開いた記者会見で「やるべきことは成し遂げた。後進に託す適切な時期が来た」と語った。

 後藤禎一取締役(62)が社長兼CEOに就任し、助野健児社長兼最高執行責任者(COO、66)は会長兼取締役会議長としてガバナンス(企業統治)強化に努める。

 古森氏は2000年に社長就任。当時はデジタルカメラの普及が進み、関連事業も含めて売上高の約6割を占めていた写真フィルムの需要が急速に落ちていた。「何とか生き残る方法はないか」と考えた古森氏は「第二の創業」を掲げ、08年に富山化学工業(現・富士フイルム富山化学)を買収し、医薬品に本格参入。17年には和光純薬工業を買収するなどM&A(企業の合併・買収)を繰り返し、事業を拡大していった。

 製薬、化粧品などを中心にした医療事業は事業の柱に成長。世界で開発競争が進む新型コロナウイルスワクチンでも、候補となっているワクチンの有効成分の生産を海外の製薬会社から請け負っている。医療機器の分野でも、日立製作所から画像診断機器事業の買収を完了した。

 もう一つの事業の柱である事務機器では思うようにはいかないこともあった。1962年から共同で富士ゼロックスに出資していた米ゼロックスに対して、18年に買収を提案したが、米ゼロックスの投資家から強い反発を受け断念。結果的に富士ゼロックス(4月1日から富士フイルムビジネスイノベーション)の完全子会社化で落ち着き、古森氏は「悔しい出来事だった」と振り返った。

 こうして成功と挫折を繰り返し、連結売上高は古森氏が社長に就任した当時の約2倍に当たる2兆円規模に成長。21年3月期の連結最終(当期)利益は、過去最高の1600億円を見込んでいる。

 「カリスマ経営者」として知られた古森氏が一線を退いた後、どのような経営戦略を掲げるかが今後の課題だ。古森氏は「医療関連で売上高1兆円を目指す」と公言してきたが、その目標は新社長の後藤氏に託される。海外営業の経験が豊富な後藤氏は医療事業の責任者も長年務め、日立からの医療機器事業の買収も主導した。

 古森氏は「国際市場でもまれた後藤くんに任せてみようと。(1兆円達成を)やってくれるでしょう」と期待する。後藤氏は「古森会長に『経営者とはなんたるものか』を学ばせてもらった。M&Aをまだまだやっていく」と述べ、古森氏の成長路線を継続する意思を示した。【加藤美穂子】

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