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花谷寿人の体温計

政治や社会の出来事が人々に与える影響を「体温」として読み解く、花谷寿人論説委員のコラム。

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第五福竜丸の航海

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 それは白い砂粒に見える。胃腸薬のガラス瓶のような容器に入った「死の灰」だ。

 東京の湾岸、夢の島に建つ都立「第五福竜丸展示館」にある。1954年3月、米国は太平洋のビキニ環礁で水爆実験を行い、静岡県のマグロ漁船に死の灰が降り注いだ。被ばくした乗組員のうち1人が亡くなった。生き残った漁師たちの人生も一変する。発病、仕事の失敗、離婚……。

 あれから67年。元乗組員で、核廃絶を訴え続けた大石又七さんが87歳で死去した。自身も被ばく後、病気を抱え、静岡から上京してクリーニング店を営む。過去を隠して暮らしていたが、後に体験を明かし、講演活動を続けた。

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