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第103回全国高校野球選手権

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「一緒に戦った」東海大相模、不在主将の思い体現 選抜高校野球

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3試合連続でベンチ不在となった東海大相模の大塚瑠晏主将のユニホームを持って記念撮影をする東海大相模の選手たち=阪神甲子園球場で2021年4月1日、藤井達也撮影 拡大
3試合連続でベンチ不在となった東海大相模の大塚瑠晏主将のユニホームを持って記念撮影をする東海大相模の選手たち=阪神甲子園球場で2021年4月1日、藤井達也撮影

 第93回選抜高校野球大会決勝。まさに欠場した大塚瑠晏(るあん)主将(3年)の思いを体現した攻撃だった。同点で迎えた九回裏、東海大相模(神奈川)の先頭打者は前チームから不動の遊撃手だった主将の守備位置で先発した深谷謙志郎選手(2年)。3球目を絶妙なセーフティーバントで三塁線に転がす。気迫のヘッドスライディングで一塁をつかみ取った。

欠場した大塚瑠晏(るあん)主将=幾島健太郎撮影 拡大
欠場した大塚瑠晏(るあん)主将=幾島健太郎撮影

 主将不在となった準々決勝と準決勝を完封し、エースとしてチームの軸をしっかりと保持した石田隼都(いしたはやと)投手(3年)が堅実に送りバントを決めると、主将代行を務めてきた門馬功(こう)選手(同)に回ってきた。

 気持ちを前面に出し、積極的にバットを振るリードオフマン。主将代行になってからは試合ごとにみなぎるような迫力を身にまとい始めた。この日も1点を先制された後の一回裏、初球から力強くバットを振る積極姿勢で3球目をきれいにセンター前にはじき返した。その後、スクイズで同点となる本塁を踏む。今大会は絶好調でこの日まで18打数で本塁打を含む8安打と打率4割超え。同点に追いついた五回裏、勝ち越しの好機ではその迫力に押されてか申告敬遠された。

 大塚主将が突然の体調不良を訴えたのは準々決勝当日の未明。急性胃腸炎と診断され、欠場し、その後入院することとなった。チームの精神的な支柱であるとともに攻守の要でもある。1回戦では延長十一回に勝ち越し適時打を放つなどチームを引っ張ってきた。

 主将代行には門馬副主将が就いたが「一人一人がちょっとずつやっていくのが大事」と意識していた。今チームが掲げてきたスローガン、個人個人の力ではなく、全員が束になって勝ち続けるという思いが込められた「つながる」の実践だった。

 準々決勝の福岡大大濠戦では「大塚さんの代わりになることは自分にはまだ力不足。自分らしく守備でチームに貢献する」。主将の守備位置を任された今大会初出場の深谷選手は落ち着いた守備や甲子園初打席のヒットで貢献。準決勝の天理(奈良)戦では2―0という接戦をみんなで守り抜いた。

 「主将がいない分、一人一人がカバーしあい、まとまりができた」と門馬選手。決勝の試合前、主将からLINEで「頼むよ」とメッセージが来た。「絶対日本一を取るよ」と返して臨んだ決勝。

 九回裏、気合十分で打席に向かったがまたも申告敬遠された。しかし、主将に代わり2番に起用された綛田小瑛(かせだしょうえい)選手(同)が四球で続き1死満塁。主軸の小島大河選手(同)がサヨナラ打を決めた。全員が主将の思いを背負い戦った。

 試合後、門馬敬治監督(51)は「大塚は病気と闘っている。今日の一戦、大塚も一緒に戦ってくれた。すべての選手で勝利をつかみ取った」とナインをたたえた。閉会式では柴田疾選手(3年)が大塚主将のユニホームを掲げて臨んだ。門馬選手は「主将にささげる気持ちがあった。『日本一になれたよ』と声を掛けたい」。そして目指すは春夏連覇。今度は大塚主将と共に頂点に立つつもりだ。【宮島麻実】

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