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まん延防止適用の宮城 街で聞こえるため息、苦言、落胆の声

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宮城県へのまん延防止等重点措置の適用が決まり、県庁で取材に応じる村井嘉浩知事=仙台市で2021年4月1日午後7時36分、神内亜実撮影 拡大
宮城県へのまん延防止等重点措置の適用が決まり、県庁で取材に応じる村井嘉浩知事=仙台市で2021年4月1日午後7時36分、神内亜実撮影

 宮城県内の新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、「まん延防止等重点措置」が全国で初めて適用されることになった。営業時間の短縮が当初の予定よりも延長される仙台市内の飲食店や大型連休の需要減につながる観光業からは、落胆の声が漏れる。【深津誠、藤田花、百武信幸、神内亜実】

 宮城への適用決定を受け、村井嘉浩知事は1日夜、「独自の緊急事態宣言では患者の急増を抑えられなかった。現状をしっかりと受け止め、国や県内の市町村と協力して一日も早く沈静化をはかりたい」と語った。

 対象地域は仙台市を中心に検討する方針。感染拡大の要因について「3月11日前後に多くの人が宮城を訪れ、送別会など年度末の異動時期が重なり、『人流』が膨らんだことに尽きる」と述べた。

 県は11日まで仙台市の酒類を提供する飲食店などに営業時間の短縮を要請しているが、まん延防止措置の適用に伴い5月5日まで延長し、営業終了の時間も現在の午後9時から同8時に1時間前倒しされる見込みだ。また、応じない飲食店への過料を科すことも可能で、県と仙台市は対応を早急に検討する。

 また、時短要請に応じた店舗に支払われる協力金は1日当たり4万円が維持され、事業規模により上積みも検討されている。

宮城県内の感染者数の推移 拡大
宮城県内の感染者数の推移

 県内の感染者数は昨春に感染が初めて確認されてから3月13日までの1年間で約4000人に上ったが、その後のわずか18日間で2000人超の感染が判明。療養者数やPCR検査の陽性率、直近1週間の陽性者数など六つの指標のうち、病床使用率以外はステージ4(感染爆発)の水準に達している。感染経路不明者が増え、濃厚接触者などを調べる「積極的疫学調査」が追いつかず、国や他県からの職員派遣も受ける事態になっている。

 郡和子・仙台市長は小中学校の入学式について「一斉に延期することはない」と明言。来賓の招待の中止や人数制限などの感染対策をとり、延期は学校関係者に感染者が出たケースに限る考えを示した。

一律規制に疑問/GW影響必至

 一方、時短要請が長期化する飲食店からは、懸念や対応の遅さへの苦言が相次いだ。

 仙台市の繁華街・国分町近くで飲食店「おでん三吉」を営む田村浩章さん(50)は、アクリル板設置や検温の徹底、テークアウト導入など対策を取ってきた。まん延防止措置の適用に理解を示しながら「一律の規制はどうなのか。対策は時短がすべてではなく、密を防ぐ基準を設け、チェック体制を整えて問題なければ営業を認めるなど、もっと細かく、踏み込んだ対策をしてほしい」と望む。

 10年前の今ごろも、東日本大震災により店の経営は厳しい状況に置かれたが「メニューが十分でなくとも『ありがとう』と喜んでもらえた。店を開きたくても開けない今は真逆の状況だ」と嘆く。

 青葉区の居酒屋の店長、佐藤宙さん(30)も「ダメージは大きい」。昨年末からランチ営業を始めたといい、「感染が拡大しているので、(適用は)しょうがない。試行錯誤しながらやっていくしかない」と話した。

 仙台市の秋保温泉では既に多くの旅館が県独自の緊急事態宣言を受けて休館しているが、まん延防止措置の適用によって書き入れ時のゴールデンウイーク(GW)にも影響するのは必至だ。ホテル佐勘の担当者は「休館を延ばす可能性も出てくる。5月の連休の予約も多くない状況で、まん延防止措置でいっそう厳しくなりそう」とため息をついた。

 栗原市に住む会社員の女性(39)は「(時短要請が)1時間早くなっただけで、県や仙台市が独自で出した宣言と何が違うのか」と疑問を投げかけ、「休業要請を出して、短期間で集中的に対策を取るべきだ。中途半端で、このままでは感染拡大が続くのではないか」と話した。

医療者「遅すぎる」 入院・療養先待ち最多752人

 県内の医療関係者からは、感染状況は実質的にステージ4(感染爆発)の段階に突入しており、「まん延防止等重点措置の適用判断は遅すぎる」との声が上がっている。

 「医療現場は既に限界を超え、疲弊しきっている」。県医師会の佐藤和宏会長は村井嘉浩知事にそう窮状を訴え、国の緊急事態宣言発令を求めてきた。県が確保している病床は現在241床。4月中に40床ほど増やす予定だが、病床使用率は60%を超える高水準が続く。1日には入院・療養先を調整中の患者が過去最多となる752人に上った。佐藤会長は「重症者さえも入院できず、ホテル療養にしなければならない事態。自宅や療養先で急死するケースが増えるだろう」と危機感をあらわにした。

 2月8日に仙台市内の飲食店への時短が解除され、同23日に外食需要喚起策「GoToイート」を再開。2月13日の福島沖地震や東日本大震災から10年の節目に首都圏から多数の人が訪れたこととも呼応するかのように、右肩上がりに感染者が増えていった。

 3月31日には1日あたりの感染者数が過去最多の200人となり、東北大大学院の小坂健教授(公衆衛生学)は「潜伏期間を考えれば今後さらに厳しい状況になる」と指摘。まん延防止措置の効果について「地域だけでなく、業種に絞って検査を推奨したり、マスク未着用の人は施設に入れなくしたりするなど、店単体を対象にした要請よりも効力が生まれる。感染拡大を止めるには、首長が市民へ強いメッセージを出すことが大切だ」と話した。【神内亜実】

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