証明が難しい介護施設での高齢者虐待 家族にできることは

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寝たきりの80代の義母が骨折したという男性が、義母の入所施設から受け取った事故報告書。骨折の原因は判明しなかった(画像の一部を加工しています)
寝たきりの80代の義母が骨折したという男性が、義母の入所施設から受け取った事故報告書。骨折の原因は判明しなかった(画像の一部を加工しています)

 行政が確認した介護施設職員による高齢者虐待の件数が毎年増え続けている。相談窓口の周知が進んだことなどにより隠れていた問題が顕在化したとみられるが、それでも明るみに出たのは氷山の一角に過ぎないという。虐待を証明するハードルが高く、被害者が高齢や認知症の進行などのために詳しい被害状況を証言できなかったり、密室状態になりやすい施設内で目撃者がいなかったりするためだ。家族や関係者が虐待の疑いを感じ取った場合、どうすればいいのか。専門家に対応方法を聞いた。

 関東地方に住む男性はある日、父親が入所する特別養護老人ホームから「皮膚の病気の疑いがあるので病院に連れて行ってください」と連絡を受けた。病院の検査では胸が赤紫色に腫れ、複数の骨折が見つかった。「虐待だ」と直感した。

 意識不明になった父親は一命を取り留めたものの、数カ月後に別の死因で亡くなった。認知症の進行で会話は難しく、なぜけがをしたのかは本人から聞けなかった。病院から「虐待の疑いがある」との報告を受けた警察が傷害容疑で捜査を始めたものの、捜査は行き詰まったという。「虐待行為が疑われる職員から自供を得られず、証拠を固めきれない」。男性は警察からそう説明されたことを明かし、「虐待がなければ父は生きていたと思う。家族としては『殺された』と思っている」と無念の心境を吐露した。

虐待相談・通報は過去最多の2200件超

 毎日新聞は昨年7月、この施設に、男性の父親が不自然な骨折をしたことが事実かを書面で尋ねた。施設は…

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