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大学スポーツ365日

大学スポーツをめぐる勝敗を超えた友情、絆、伝統――。日々つづられるドラマに迫り、勇気と力をお届けします。

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常識に縛られぬ集団・早大探検部 コロナ下で見つけた新たな価値

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大学近くの公園でミーティングする早大探検部の学生たち。左から4人目が幹事長の田口慧=東京都新宿区で2021年3月29日、長谷川直亮撮影
大学近くの公園でミーティングする早大探検部の学生たち。左から4人目が幹事長の田口慧=東京都新宿区で2021年3月29日、長谷川直亮撮影

 新型コロナウイルスの感染が世界中に広がり、はや1年が過ぎた。記者にとって旅の道連れだったザックはほこりをかぶり、パスポートもどこにしまったのやら。「ここではない、どこかへ」。せめて頭の中だけでもと思い、古今東西の紀行文学を読みふけった。そして、ふと思った。「彼らはいま、どうしているのだろう」。未来の探検家や旅人たちが集まり、アスリートと同様に限界への挑戦を続ける、知る人ぞ知る早大探検部を訪ねた。新企画「大学スポーツ365日」では全国の大学を訪ね歩き、4年間という限られた時間に情熱を注ぐ学生たちのドラマを描きます。

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除された3月下旬、早大探検部の幹事長、田口慧(けい、24)は東京から2000キロ近く離れた沖縄・西表島にいた。第二次大戦期まであった炭鉱跡を探る仲間の活動を見守るためだが、久しぶりの遠出に心が躍った。この1年、世界中の未知を求める彼らの活動は制限され、今も部としての遠征はできず、活動は個人の範囲にとどまる。その中で新たな探検の意味を探り続けている。

 早大探検部は1959年、海外を志す学生が集まり探検研究会として誕生した。米ソ冷戦下の65年にベーリング海峡横断を試みたほか、97年タクラマカン砂漠の未踏部横断、2002年南米のギアナ高地の洞窟探検などその活動は異彩を放つ。創部以来の海外遠征は約160回。直木賞作家の船戸与一さん(故人)、ノンフィクション作家の高野秀行さん、角幡唯介さんら多数の作家も生んだ。

 しかし、猛威を振るうコロナの余波で身動きが取れなくなった。国内外の遠征や宿泊を伴う合宿を禁じる大学の方針もあり、計画は次々に中止や延期に追い込まれた。新4年生の田口はため息交じりに振り返る。「…

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